気になる社会人にインタビュー!  第33回:杜氏に聞いてみた10のコト!

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気になる社会人にインタビュー! 
第33回:杜氏に聞いてみた10のコト!

2016.06.01

提供元:マイナビ進学編集部

気になる社会人にインタビュー! 
第33回:杜氏に聞いてみた10のコト!

みなさんは、大人たちがお酒を飲んで楽しそうにしている姿を見たことがあると思います。いつか大人になったら、飲んでみたいお酒。そんなお酒はどうやってつくられているのでしょうか?
今回は酒づくりのお仕事について、鹿児島県の奄美大島にある、『西平酒造』で黒糖焼酎※づくりを行う西平せれなさんに、詳しいお話を伺いました。

※サトウキビからとれる黒砂糖と、米を原料につくられる焼酎。 鹿児島県の奄美群島のみでつくられる。

この記事をまとめると

  • 「杜氏(とうじ)」は、酒づくりにおけるリーダーのような存在
  • 一つのお酒がつくられるまでに、数年かかることがある
  • お酒づくりには、経験の他に「センス」が必要とされる

何年も酒づくりの経験を積んで、リーダーである「杜氏(とうじ)」になれる

もろみの温度を調整するため、櫂棒(かいぼう)でかき混ぜる

もろみの温度を調整するため、櫂棒(かいぼう)でかき混ぜる

Q1. 普段のお仕事について教えてください。

「私は、『杜氏(とうじ)見習い』として、実家が営む『西平酒造』で、日々、黒糖焼酎づくりをしています。酒づくりのリーダーである『杜氏』になるには、たくさんの経験を積まなければなりません。1本の黒糖焼酎がつくられるまでには、いろいろな作業が必要で、しかも数字では説明できないことを感覚で調整するセンスを磨く必要があります。そのため、杜氏になるには何年もかかるんですよ」

「どうやって黒糖焼酎をつくっているのかというと、まず、お酒の元となる『もろみ』というものをつくります。蒸したお米を発酵させて、黒糖を混ぜあわせ、寝かせたものが『もろみ』です。それから『蒸留』という作業をして、余分なものを取り除き、液体だけを取り出せば、黒糖焼酎ができます。その後、樽の中で寝かせて、木の樽のいい匂いを黒糖焼酎につけています。『西平酒造』の場合、出荷までに3年もの月日がかかります」

「また、私の場合、自社ブランドを広めるためのPR活動も行っています。黒糖焼酎を広めるために、イベントの企画や営業、SNSの運用、店に置くチラシづくりなどもしています」


Q2. 1日のお仕事の大まかな流れを教えてください。

「季節によって異なりますが、大まかには以下のような流れです」

07:00 起床
08:30 出勤
09:00 製造開始
12:00 休憩
13:00 出荷作業や営業活動
18:00 退勤


Q3. 杜氏になるまで、どのような経験を積まれてきたのでしょうか?

「まずはタンクの掃除からはじめました。それから、お酒をビンに詰める作業や、ボトルのラベル貼りなど、出来上がったお酒を出荷する仕事を経験した後、やっと今の先輩の杜氏に認められて、お酒を育てる工程にも携われるようになりました」

「私は父の跡を継ぐ形で、杜氏見習いになりましたが、杜氏の中には、飛び込みで酒づくりの世界に入る人もいます。杜氏のアシスタントのことを『蔵人(くらこ)』と呼びますが、蔵人になるために、酒造で働かせてもらえるよう、現場に頼み込んで雇ってもらい、経験を積んだ後に杜氏になる人もいるようです」

お酒を飲んでいる人たちが楽しそうにしているのを見るとうれしくなる

自社ブランドの広告塔になるなど、PR活動にも携わっている

自社ブランドの広告塔になるなど、PR活動にも携わっている

Q4. お仕事の中で、魅力ややりがいを感じるのはどのようなときですか?

「この仕事の魅力は、黒糖焼酎を通じて、人を少しだけ幸せにできることだと思います。高校生がお酒を飲むことは法律で禁じられているので、皆さんはお酒を飲んだ経験はないと思いますが、大人たちがお酒を楽しそうに飲んでいる姿を見たことはあると思います。私は、その人たちの楽しそうにしている顔を見ていると、この仕事をしていてよかったな、と思います」

「お酒には悪い面もあるけれど、お酒のおかげでリラックスできたり、人との会話が弾んだり、アイデアが広がったりすることも多いと思うんです。人見知りの私は、お酒を飲むことでリラックスできて、いろんな人と話すことができるようになるので、この世にお酒があってよかったなと思っているんですよ(笑)」


Q5. お仕事に取り組む中で、大切にしていることがあれば教えてください。

「当たり前のことですが、『とにかく一生懸命やること』です。杜氏になるために、まだまだ黒糖焼酎づくりで学ばなければいけないことがたくさんあります。酒づくりを教えてくれる今の先輩の杜氏に少しでも早く認めてもらうためにも、ちょっと厳しそうだな、と思うことでも、とにかくやるようにしています」

「それから、どうやったら黒糖焼酎をもっと世の中に広められるかということは常に考えていますね。『焼酎』と聞くと、『おじさんが居酒屋で飲んでいるお酒』というイメージが強いと思いますが、もっと若い女性やいろんな世代の人たちに楽しんでもらいたいんです。だから、お酒を広めるためのアイデアを会社の人にどんどん伝えるようにしています。今までに、私の意見で、焼酎のパッケージがスタイリッシュなデザインになったことがあります。あとは、新聞広告を今までにないものにしようと提案していたら、私自身がポスターに登場することになり、びっくり、ということもありました(笑)」


Q6. 一番の思い出を教えてください。

「黒糖焼酎の発酵のトラブルが起きたときに、夕方の4時から朝の7時まで、ずっと一人で作業したことです。菌の力を借りて発酵するもろみは、生き物のようなもの。発酵を上手に進めるためには、そのときの状態に合わせて適切な温度に保ってあげる必要があります。このときは、温度が上がりすぎたせいで発酵が進み過ぎてしまい、ぶくぶくと、泡が止まらなくなってしまったんです。温度を下げるためには、『櫂棒(かいぼう)』といわれる長い棒でかき混ぜ、発酵が落ち着くまで温度を下げる必要があります。黒糖焼酎づくりの中でも、一番つらい作業といわれています。つらかったけど、この作業をやりぬいて、もろみの状態を落ち着かせることができたとき、黒糖焼酎づくりをずっと続けていく自信がつきました」

音楽に才能が必要なように、酒づくりにもセンスが必要とされる

Q7. お休みの日はどのように過ごしていますか?

「休みの日は、音楽活動をしています。フルートや打楽器の演奏ができるので、仲間と一緒に地元でライブをすることも多いです。ライブをするときは、頼まれて出演することもありますが、以前は、自分でライブの企画から、ライブハウスの手配、宣伝などをしていましたので、そのときの経験が、黒糖焼酎のPR活動にも生かされていると感じます」

「また、お酒は好きで、普段からバーや居酒屋に行って、いろんな種類の焼酎を飲むようにしています。友人たちとお酒を楽しむ場でも、ふと、真剣にお酒のことを考えてしまうときもあるんですよ」


Q8. 高校時代はどのように過ごしていましたか?

「高校生のころからバンド活動をして、音大で音楽を勉強した後、ミュージシャンをしていました。黒糖焼酎づくりと、自分で音楽をつくっていた経験が、つながっていると感じることがあります。曲をつくるときは、妥協したり、手を抜いたりすると、それなりのものしかできないんですが、それは黒糖焼酎づくりも同じ。手間をかけずして、いい黒糖焼酎はできません。いつも『本物』の黒糖焼酎づくりを目指しています」

「それから、センスが必要な部分も、音楽と黒糖焼酎づくりは似ているな、と感じます。勉強したからといって、いい曲がつくれるようになるかというと、そうではありません。センスや感覚が必要になってきます。黒糖焼酎づくりにも、数字や理屈では説明できないことをやってのける才能みたいなものが必要になってくるんです。黒糖焼酎づくりの作業の中で、数字上無理といわれていることでも、奇跡が起きて、成功することがあるんですよ」


Q9. 高校時代にもっと勉強しておきたかったことがあれば教えてください。

「私の場合は、現場で特に不便を感じていることはあまりないのですが、計算に強くなければこの仕事はできません。お酒の製造者は『酒税』と呼ばれる税金を国に収める必要があります。酒税に関係する黒糖焼酎の量やアルコール度数は、細かくチェックして国に報告します。数滴垂れてしまっただけでも、どれだけ減ったのかを計算して報告するんですよ」

「それから、お酒づくりにおける発酵などは、化学や生物にも関係しているので、興味がある人は、勉強してみると、いつか酒づくりに携わったときに、周りの人とは違った視点からお酒づくりを考えることができるかもしれませんね」


Q10. 高校生に向けてメッセージをお願いします。

「黒糖焼酎づくりは、感性が必要とされるクリエイティブな仕事です。手間をかければかけるほど、黒糖焼酎はおいしくなっていきます。『本物』づくりを目指して、一つのことを突き詰めることが好きな人には向いている仕事だと思います」

「今、何をしたいのか分からない人でも、目の前にあることを突き詰めてやっていると、私のように、いつか本当にしたいことが見つかったときに、それまでの経験がリンクすることはあると思います。まずは、なんでもいいから、目の前にある自分の好きなことを一生懸命やっていれば、必ず道は開けると思います」


お酒は、「杜氏」や「蔵人」が、生き物の世話をするように丁寧に管理することで、つくられていたのですね。お酒づくりに興味を持った人は、黒糖焼酎や日本酒などの種類によって少しずつ違う、お酒のつくり方について、調べてみると面白いかもしれませんよ。


【取材協力】西平酒造 西平せれなさん
HP:http://kana-sango.jp
Twitter:https://mobile.twitter.com/kana_sango
FaceBook:https://m.facebook.com/kana.sango/

この記事のテーマ
食・栄養・調理・製菓」を解説

料理や菓子などの調理技術や、栄養や衛生などに関する基礎知識を身につけます。職種に応じた実技を段階的に学ぶほか、栄養士などの職種を希望する場合は、資格取得のための学習も必須です。飲食サービスに関わる仕事を目指す場合は、メニュー開発や盛りつけ、店のコーディネートに関するアイデアやセンス、酒や食材に関する幅広い知識も求められます。

「食・栄養・調理・製菓」について詳しく見る

この記事で取り上げた
「杜氏(とうじ)」
はこんな仕事です

日本酒の蔵元で、蔵人たちとの共同作業による酒づくりを取り仕切る仕事。日本酒は複雑な過程を経てつくられるが、その醸造技術は全国各地に散在する杜氏・蔵人集団によって継承されてきた。現在では、蔵元の従業員として働くのが一般的。大手メーカーでは機械化が進んでいるが、各地の蔵元では今も昔ながらの酒づくりが行われている。杜氏になるためには資格は必要ないが、大学の醸造科などで学んでから就職したり、働き出してから酒造組合などが主催する講習や研修などで知識を深めたりすることが多い。

「杜氏(とうじ)」について詳しく見る