isxnotデザイナー・マキセイズミに聞く! アパレルブランド立ち上げのきっかけとデザイナーとしての働き方
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アパレルブランド「isxnot」を立ち上げ、デザイナーとして働いているマキセイズミさんに、アパレルブランド立ち上げの経緯と、デザイナーとしての働き方を伺いました!
この記事をまとめると
- いつか、本当にやりたいことを考えるタイミングがくる
- 幼い頃からの「服が好き」という思いが今でも原動力に
- 目に見えない価値を大事に
ブランド立ち上げのきっかけは「過去の自分からの脱却」
――マキセさんはデザイナーとしてアパレルブランドを立ち上げていますが、もともとデザイナーとして働いていたのでしょうか?
いえ、前の職場はコールセンターでした。他にも、正社員として営業職に就いていたことや、海外ファストファッションのお店で働いていたこともあります。いずれも、今のように「デザイナー」として働いていたわけではありませんね。
――デザイナー職の経験はなかったんですね。では、どのようにしてアパレルブランドを立ち上げるまでに至ったのでしょうか?
体調を崩して前職を辞めたのがきっかけですね。そのとき、ふと「自分には何も残ってないんだな」と思ったんです。私の周りにはアーティストをやっている人が多いんですけど、みんな確実に成功していたり、成功への道を着実に歩んでいるんです。そんな人たちに囲まれていたので、仕事を辞めたときに「私は何をしているんだろう」「私は何をしてきたんだろう」って考えて、惨めになってしまいまして……。でも、急に「もういいや」ってなったんです(笑)。退職をして全部失って、改めて自分自身を見つめ直した結果、「やりたいことをやろう」と思えたんです。
「好き」がないなら、作ればいい
――仕事を辞めた次のアクションが「アパレルブランドの立ち上げ」だったのはなぜですか?
洋服への思いが消えなかったからですかね。実は、小さいころから洋服が大好きだったんです。小学校低学年のとき、自分の欲しい服を作ろうとして、服を切り刻んだりもしていました(笑)。そんな子どもだったこともあり、中学生のころには「将来はバイヤーになって、自分の好きな洋服だらけのお店を持ちたい」と思っていました。中学2年生でライブハウスに出入りするようになってからは、その思いが少し薄れてはいましたが、心のどこかに幼いころ抱いていた洋服への思いが残っていたんだと思います。
21歳で音楽の道を諦めたときにも今のように自分のショップを持つことを考えましたが、元手となる資金や自分の好きだと思える服があまりないことを理由に行動しませんでした。
そして、前職を退職した際に「失うものは何もないんだ。好きな服がないなら、作ってしまえばいい」と思い立ち、前職最後のお給料を軍資金にして、バイヤーとしてではなくデザイナーとしてisxnotを立ち上げました。
――経験がないところからスタートした「デザイナー業」ですが、どういった点に苦労しましたか?
PhotoshopやIllustratorなどの技術的問題に苦労しました。と言うより、今も苦労してます(笑)。
もともと、趣味で写真を撮っていたので、Photoshopは使用していましたが、Illustratorは全く触ったことがありませんでした。ラフデザイン(大まかなデザイン)を外注のデザイナーさんに頼むことも考えましたが、少しでも自分のイメージと違うものになるのが嫌だったので、自分でできることは全て自分で行うようにしています。思うようにできない悔しさで泣いてしまうことが今でもよくありますけど(笑)。
――マキセさんはTwitterやBASEなど、さまざまなSNSツールを駆使して着実にファンを作り上げていますが、立ち上げ当時からこのような戦略で進めていこうと決めていたのでしょうか?
そうですね。展開方法は以前から決めていました。SNSの強みは「スピードがあり、リアルタイムで生の声を聞けること」だと思います。そして、10~20代の人たちは、それを感覚的に分かっていると感じます。「人と違うことがしたい、人と違うものが欲しい」という考え自体がすでに平凡だと気付きながらも、自分を見てくれと自己プロデュースをし、つながりを求める子がSNSには溢れています。isxnotは、そんな人に届いてほしいと思っています。
――プレゼント企画なども行っていますが、それは届く範囲を広げることが目的なんですね。
プレゼント企画などは日ごろの感謝を伝える機会であるのと同時に、より多くの方にisxnotを知ってもらえる機会と思って行っています。
――新作リリースやファンの拡大など、業績が好調ですが、知名度が上がるきっかけとなった出来事などはあったのでしょうか?
知名度に関していえば、アーティストのLiSAが着用してくれたことが大きなきっかけでした。LiSAは憧れの先輩で、私が高校生のころから追いかけている人の一人です。isxnotを立ち上げるときに、報告がてらLINEをしたのですが、「頑張ってね!」と、とても強く背中を押してもらいました。知名度も、新作リリースも、どちらも私一人の力ではありません。いつだって周りの人たちに、助けられてばかりです。
見えないものにこそ意味を。デザイナーとしてのこだわり
――洋服のデザインをする際、マキセさんが心がけていることはなんですか?
今はどこもかしこもすてきなデザインの洋服が溢れていますよね。なので、きっとクローゼットの中には、人それぞれお気に入りの洋服が入っていると思います。そんなお気に入りの洋服と喧嘩することなく、今までのコーディネートに自然と溶け込める「適度なシンプルさ」を大切にしています。
また、isxnotは【見えないもの】をメインテーマに掲げています。それは本音であったり、物質や現象であったりとさまざまですが、isxnotの商品全てのデザインに共通していることなので、良ければ見てください(笑)。
――isxnotという名前には、どのような思いが込められているのでしょうか?
isxnotは、見ていただければ分かるように、「is」「not」という単語に「x」が入っています。これは、余分なものなんてないという意味でもあり、「x」そのものがバツ印も表しています。意味としては「isn’t」と同じ意味です。先ほどお話したメインテーマでもある【見えないもの】もこの意味からきています。
それともう一つ、わたしの小さいころのあだ名がイズでした。逃げてばかりいた自分(イズ)をやめれるよう、今までとは一味も二味も違った自分になれるよう「イズじゃない」という名前をつけました。
――葛藤や苦悩と向き合ったマキセさんだからこそいえる言葉があると思います。今やりたいことが見つからない学生に向けて、アドバイスをお願いいたします!
たくさん挑戦して、たくさん失敗してください。失敗して、悔しくて、それでも諦めたくないと思えるものがあったら、それをもう少し頑張ればいいんです。
そして、挑戦をするなら絶対に早いほうがいいです。私たちは何もしなくても大人になって、時間はどんどんなくなっていきます。時間がなくなるほど、失敗した後に立ち上がることが難しくなり、挑戦しないための言い訳探しをしやすくなってしまします。
スタートが遅くて、周りと差があるのは怖いかもしれませんが、今日はじめてしまえば、明日はじめる自分よりは有利です。やりたいことじゃなく、できることでもいい。一つひとつ、一緒に頑張りましょう。
そして、もしこれを読んでいる人の中に「服を作りたい」と思っている人がいたら、いつか一緒に何か作れる日を楽しみにしています。それまでに私も、もっともっとすてきなものを作れるようになって待ってます。
――ありがとうございました!
前職を退職し、0からスタートした「isxnot」というアパレルブランド。難しい挑戦だと思える「ブランドの立ち上げ」が成功した裏には、さまざまな努力や葛藤があることが分かりました。
ファッション業界は、学校で専門的な知識を学んでから進んでいくイメージが強いですが、マキセさんのように0からスタートしている方も大勢います。もし進路に悩んでしまったときは、経験がないことを理由に諦めてしまうのではなく、自分がやりたいと思ったことを信じ、一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?
【プロフィール】
「マキセイズミ」
コドモメンタルINC.所属。
セルフポートレートを中心に、幅広く活動中。
2015年には独学でアパレルブランドisxnotを立ち上げ、
その活動の幅は、さらに広がりを見せている。
週5でお寿司が食べたい。
最近の悩みは「華金に咲かせる花がない」こと。
isxnot Twitter : @isxnot
isxnot HP : http://isxnot.thebase.in/
この記事のテーマ
「ファッション」を解説
ファッションの専門知識や業界のビジネスノウハウ、感性やセンス、そして技術を駆使し、世の中に新たな流行を生み出すビジネスです。主に、素材づくりや縫製など「つくる仕事」と、PRや販売促進などファッションビジネスに関わる仕事に分かれます。この仕事をめざすには、作品の発表会や学外での職業実習などを通して職業人としての実践力を身につける他、資格取得をめざす場合もあります。
この記事で取り上げた
「ファッションデザイナー」
はこんな仕事です
衣服などの製品をデザインする仕事。大別すると、企業に勤務して働くデザイナーと、フリーランスを経て活躍するデザイナーの2つがある。どちらも、その時々の流行を踏まえながらコンセプトを考え、デザイン画を作成。それを基に型紙をつくるパタンナーや縫製・プレス担当者などに指示を出す。コンセプトとずれていないか試作品で何度も調整し、完成させる。ファッションデザイナーは、企画から完成までを監督するプロデューサー的な役割といえる。企業所属のデザイナーであれば、会社の方針や利益も配慮しなければならない。
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