怖すぎる! 持ち主を不幸にする「呪いのダイヤモンド」の伝説って?

世界中で女性に愛されている宝石ですが、呪いのダイヤモンドと呼ばれている宝石があることを知っていますか? 所有者を次々と破滅させてきた、その名も呪いのホープダイヤです。この伝説を調べてみると見えてくるのは、呪いの凄まじさではなく人の心の面白さでした。恐ろしい呪いのダイヤの真実とは、いったい何なのでしょうか。
この記事をまとめると
- 呪いの宝石、ホープダイヤの歴史と真実
- 伝説の始まりは宝石商のリップサービスだった!?
- 人々の心が呪いのダイヤモンドをつくりだした
呪いのダイヤモンド「ホープダイヤ」の歴史
現存するホープダイヤは、45.52ct(約9.1g)の大きなブルーダイヤモンドです。
歴史に姿を現したのは1668年。フランス国王ルイ14世が最初に手に入れたと伝えられています。しかしルイ16世とその妃マリー・アントワネットがフランス革命によって処刑されると、混乱のなかで何者かに奪われてしまいました。ホープ家で3代相続され、相続人であるヘンリー・フランシス・ホープが破産してダイヤを売却。その後数人の手に渡り、1910年に有名な宝石商の一族、ピエール・C・カルティエが買い取ります。
カルティエからエバリン・ウォルシュ・マクリーンが購入。その後、ニューヨークの宝石商ハリー・ウィンストンが手に入れます。ウィンストンは最終的に博物館にダイヤを寄贈し、今も展示されています。
実はほとんどの所有者は無事だった!
さて、伝説では、このホープダイヤの持ち主は軒並み不幸な最期を迎えたとなっています。ところが実際には明らかに不幸な死に方をしたといえるのは、ルイ16世とマリー・アントワネットぐらいでした。悲惨な最期を迎えたといわれる人物は、存在が確認できない架空人物ばかり。所有した人々は、天寿を全うしたといえるほうが圧倒的に多いのです。
例を挙げると前述したマクリーン夫人は、伝説では一族皆死に絶えたことになっていますが、実際は子も孫もいてダイヤを相続しています。では一体、どうして呪われたダイヤといわれるようになったのでしょうか。
呪いの始まりはリップサービスだった!?
呪いの伝説の始まりについては諸説ありますが、そのうちの一つにかかわったのがカルティエです。
のちにダイヤの所有者となるマクリーン夫人は、変わった欲求をもっていました。
「他人に不幸をもたらすものが、逆に私には幸福を呼ぶような気がする」
この言葉を聞いたカルティエは、マクリーン夫人の気持ちに応えるように、呪いの宝石としてホープダイヤを紹介したようなのです。いわばリップサービスから始まった呪いなのです。これを耳にした人々は、疑うどころかまるで真実のように信じ込みました。ホープダイヤの所有者のなかには積極的に噂を広めた者すらいて、話はますます膨らんでいったのです。
ホープダイヤの呪いは一人の人物の変わった欲求から始まり、その噂を多くの人がすすんで盛り上げたために伝説にまでなりました。人は真実よりも、恐ろしくも興味深い嘘を好むということでしょうか。カルティエもまさかこんなことになるとは思っていなかったでしょう。
正確な情報を集めて冷静に考えれば、呪いのダイヤモンドの正体はすぐにわかるはずです。しかし、当時の人々はその謎と不思議と恐怖に魅せられて信じこみ、今でも真実のように語り伝えています。
つまり、呪いのホープダイヤとは、人の欲求が生み出した伝説なのです。
このように人間心理に注目してみると、真実が見えてきます。
もしこういった話に興味が湧いたら、心理学科に進学して調べてみることをおすすめします。大衆の心の動きが社会や歴史に与える影響の大きさにびっくりしますよ。
【参考サイト】
・中央宝石研究所(2000-2015)「青いダイヤモンドの呪い」
http://www.cgl.co.jp/knowledge/episode/05.html
【参考文献】
・ロナルド・ルイス・ボネウイッツ(2007)
『ROCK and GEM 岩石と宝石の大図鑑』
p.124-125,青木正博訳,誠文堂新光社
・パトリック・ヴォワイヨ(2006)
『宝石の歴史』(「知の再発見」双書127)
p.40-42,83,ヒコ・みづの監修,遠藤ゆかり訳,創元社
この記事のテーマ
「人間・心理」を解説
人を研究対象として、人間の心理や身体、人間が作る社会集団、生活の特徴やあり方を研究します。人間科学は、人間という存在や関係性そのものを研究し、学習範囲は栄養学から文化人類学、スポーツ科学まで広範囲にわたります。心理学は人間の心や行動の特徴を分析・解明します。ストレス社会と呼ばれ、心の病に苦しむ人が増加している現代では、なかでも臨床心理学の重要性が注目されています。人間の存在意義の基礎となる学問です。
この記事で取り上げた
「心理学」
はこんな学問です
人間の心理や行動がどのような原理で動いているのかを研究する学問である。それにはさまざまなアプローチがある。たとえば、認知心理学では対象を知覚してから言語化するまでの作用を情報処理のプロセスとして理解する。発達心理学は人間が誕生してから死ぬまでの心の変化が何によるのかを探究する。臨床心理学は心のバランスを崩してしまった人の状態の改善をめざす。志望校に自分の本当に学びたい心理学があるかどうかを必ず確認することが大切だ。
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