世界最古の電子楽器「テルミン」の日本進出は岩手県からだった!
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「テルミン」と聞いて、すぐにピンとくる人は少ないのではないでしょうか。100年ほど前、ロシアの物理学者であるテルミン博士によって発明された世界初の電子楽器です。実は、日本初のテルミンが誕生した地は、岩手県宮古市だったのです。
この記事をまとめると
- 世界初の電子楽器はロシアのテルミンさんが発明した「テルミン」
- 日本初のテルミンをつくった新沼さんは、テルミンの欠点の改善に成功!
- 楽器を演奏する自分の姿にあこがれたことはありませんか?
あら不思議? 楽器に触っていないに音色が
テルミンが他の楽器と異なる点を1つ挙げるなら、何といっても楽器に一切触れずに演奏できることです。あら、不思議。マジシャンのように空間で手を動かしているだけで、様々な楽曲が演奏されていきます。実は手の位置や距離を感知し、音高と音量を調整して音を作り出しているのです。温もりのあるレトロな音色ですが、れっきとした電子楽器です。世界初の電子楽器・テルミンを発明したのはロシア人のテルミンさんですが、日本初のテルミンを製造したのは岩手県出身の新沼好文さん。発明した場所も同じく岩手県宮古市です。新沼さんはテクノ音楽の演奏家として世界じゅうで活躍した方でしたが、それまでの音楽に限界を感じ、新たな音楽世界を探していたときに出合ったのがテルミンだったそうです。
国産初のテルミン生産者・新沼好文さんは、野外でも演奏できるテルミンを完成
新沼さんは最初、自分で演奏するためにテルミンに向かいましたが、しだいにとりこになっていき、自分でつくるようになりました。それも、これまでのテルミンを一歩も二歩も前進させたテルミンでした。というのは、テルミンには野外で演奏できないという欠点があったのです。新沼さんはこの欠点を改良することに努め、ついに野外でも演奏できるテルミンを完成させたのです。残念なことに日本初のテルミンを世に送り出した工房は東日本大震災で壊滅し、新沼さんご本人もその2年後に他界されました。けれども新沼さんのテルミンは現在も愛好者の手により温もりいっぱいの音色を奏でています。その後、同じ日本人によって、テルミンをロシアの民芸品「マトリョーシカ」に内蔵した「マトリョミン」という派生楽器も出てきました。これは面白い試みですよね。こうした音楽に触れて人生を過ごすなんて、とてもステキなことだと思いませんか。
好きな音楽に囲まれて仕事するのは楽しい!
テルミンに限った話じゃないですが、それぞれの楽器には製作者がいて楽器そのものの歴史もあります。そんな素敵な楽器を演奏する自分の姿を想像したことはありませんか。聴くだけでもリフレッシュできますが、できるなら自分で演奏したいと考えている人は多いはず。ある楽器店の報告によると、10代の男性はエレキギター、ドラム、ピアノの順で習いにくる人が多く、女性はピアノ、バイオリン、フルートの順になっているそうです。「異性にモテかった」ということが楽器に親しむきっかけだったと回想する人気ミュージシャンがいましたが、異性にかぎらず、楽器を演奏できるようになれば交流の輪が広がることはまちがいありませんよね。また、自分では楽器を演奏しなくても音楽が好きであればイベントの運営や楽器製作メーカーで働くという仕事もあります。音に囲まれて仕事するなんて、音楽好きにはたまらないかもしれませんね。
この記事のテーマ
「音楽・イベント」を解説
エンターテイメントを作り出すため、職種に応じた専門知識や技術を学び、作品制作や企画立案のスキル、表現力を磨きます。音楽制作では、作詞・作曲・編曲などの楽曲づくりのほか、レコーディングやライブでの音響機器の操作を学びます。舞台制作では、演劇やダンスなどの演出のほか、舞台装置の使い方を学びます。楽器の製作・修理もこの分野です。
この記事で取り上げた
「楽器製作メーカーで働く人」
はこんな仕事です
さまざまな楽器を手作りする職人的な仕事を想像しがちだが、「新製品の企画・デザイン・設計・営業・販促などに携わる」「人事や総務などバックオフィスから支援する」「大量生産する工場のラインや海外の生産拠点を管理し、信頼のおける部品を専門に作り続ける」など、多彩な働き方ができる。クラフトマン・シップを発揮したいなら、楽器職人に弟子入りする道がある。近年では、デジタル機器やシミュレーターなどソフトウエア作りの道もあり、電子工学や情報処理の方面からアプローチする方法もある。