仏教が生まれた国・インド、今では仏教徒は100人に1人もいない?

この記事をまとめると
- 国によって、信仰している宗教の比率は大きく異なる
- 釈迦の故郷インドには仏教徒が少ないなど、意外な実態も
- 宗教の広まり方から、その国の歴史が見えてくる
■世界でもっとも多いのは、キリスト教
いろいろな宗教が世界で繁栄していますが、なかでももっとも多いのはキリスト教。その宗教人口は20億人を超えるとされています。続いて多いのはイスラム教で、宗教人口は諸説ありますが13億人ほどいるとみられています。その次に多いのはヒンズー教になり、約9億人。仏教はそこから大きく離れて、3億人ほどとされています。
■韓国で一番多いのは、キリスト教
お隣の国、韓国では、仏教よりもキリスト教を信じる人の割合が多いようです。日本では仏教を信じる人の方が多いため、意外に感じる人もいるかもしれません。これだけ距離が近い国同士でも、このように宗教の違いが生まれるのは不思議ですよね。
■シャカの故郷・インドの仏教徒の割合は、なんと人口の0.8%!
インドについて学ぶとき、決まって出てくるのが「ヒンズー教」。インド人の80%ほどは、ヒンズー教を信仰しているのですから、この国とは切っても切れない宗教です。かたや、仏教の開祖である釈迦(シャカ)は、インド亜大陸の出身にもかかわらず、インドでは仏教徒が人口の0.8%しかいないのです。仏教はアジアで広がりを見せたものの、さまざまな外的・内的要因により、インドでは仏教は衰退していったと言います。
■オランダは人口の半分近くの人が、無宗教
日本は、特定の宗教を信仰しない“無宗教”の人が珍しくありません。一方、海外の映画などを見ると、外国人の多くはなんらかの宗教を信仰しています。ただ、オランダでは「無宗教・その他」の人が48.4%を占めるとのこと。実は、日本に近い国なのかもしれません。
各国の宗教の広まり方を調べると、不思議な点がいくつも見つかります。国によって、宗教の広まり方がなぜこれほど違うのか。これらの現象を宗教学や歴史学の観点から調べることによって、宗教の理解だけでなく、その国の歴史や成り立ちも分かるはずです。
そして、宗教は地域の文化や風習を作ります。さらに、宗教の違いから地域の対立が生まれ、争いが起きてしまうこともあります。「宗教戦争」は過去に何度も起こっており、今でも大きな問題となっています。
その中で、異なる宗教を信仰する人たちが、どのようにお互いを理解していくか考え、各国の宗教や、そこから生まれる文化について学ぶことはとても大切です。それは、「国際理解」と呼ばれる教育に通じます。
それぞれの文化的背景を持った人たちが、同じ地球で一緒に暮らしているからこそ、宗教の歴史や成り立ちを知ることは、きっと未来の平和にもつながっていくことでしょう。
参考:
外務省│インド基礎データ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/india/data.html
この記事のテーマ
「文学・歴史・地理」を解説
文学は、長い歴史のなかで変遷してきた人間の生活や社会、人々の考え方や感情の変化などを、文章表現をもとに考える学問です。文献を読み解いて比較検討し、過去から現在、さらには未来に至る人間のあり方や社会について研究します。地理学や歴史学は、今日の私たちの生活や文化、経済活動などについて、基盤となった地形や気候、史実やさまざまな事象、最新の研究結果や歴史的な遺構をもとに、その成り立ちから考える分野です。
この記事で取り上げた
「宗教学」
はこんな学問です
実は、欧米の大学でも19世紀末に初めて開講された比較的、歴史の浅い学問である。それまでは、あくまでもキリスト教の神学だけが学問の対象とされてきた。そのタブーを破り神学から独立してできたのが宗教学だった。世界の三大宗教といわれるキリスト教、仏教、イスラム教をはじめ、日本の民間信仰、世界各地の民族宗教、前世紀から今世紀にかけて急成長した新宗教まで、時間・空間を超えて広く宗教に関わる事象を研究対象とする。