酢豚のパイナップルや唐揚げのレモン……料理に入ってる果物にも、しっかりした役割がある?

給食でも人気のメニュー、酢豚。酢豚にはパイナップルが入っていることが多いですが、どうして果物が入っているのでしょうか。その理由を解説します。
この記事をまとめると
- 唐揚げにレモン、酢豚にパイナップルが入っているのには理由があった
- レモンには、唐揚げの老化を促す成分の発生を減少させる効果がある
- こうした食材同士の効果的な組み合わせを考えるのが調理学
「唐揚げのレモン」「酢豚にパイナップル」許す派? 許さない派?
外で食事をする時に、唐揚げを頼めば同じお皿に乗ってやってくるレモン。このレモンを唐揚げにかけるか否か、というのは日本各地で幾度も議論を巻き起こしてきました。
「唐揚げにレモン勝手にかけるヤツ、なんなの?」
「レモンのない唐揚げなんてあり得ない!」
そんなやり取りが毎晩日本中で繰り広げられています。これと似たようなことが「酢豚に入っているパイナップル」でも起きています。「パイナップルだけは許せない」派と「パイナップルなしの酢豚は認めぬ」派が、今も激しい闘いを繰り広げています。
これまで、どちらも好みの話として議論が続いていました。でも、実はそれぞれの果物にもきちんとした役割があると知っていましたか?
実は役割があった? 料理の中の果物のヒミツ
人間の老化を促進させる成分に「AGE」というものがあります。AGEは正式には「終末糖化産物」といい、タンパク質と糖が加熱されてできた、毒性を持っています。実は、唐揚げにはこのAGEが多く含まれているのです。他にはとんかつ、ステーキもAGEの発生量が多いと言われています。唐揚げ、とんかつ、ステーキ……。そのどれにも、レモンがついていることに気付きましたか?
レモンには消化を促進する効果を持つクエン酸が含まれており、さらにビタミンCによってコレステロールを抑えることができます。レモンの持つ酸味はAGEが発生するのを防ぐ効果もあると言われています。
一方、酢豚にパイナップルが入っているのは、パイナップルの持つ「ブロメリン」という酵素が理由です。この酵素がたんぱく質を分解し、消化吸収を助けています。酢豚にパイナップルが入っているからこそ、豚肉のたんぱく質を効率よく吸収できるのです。
「食材の食べ方」でより美味しく健康に、を考える学問
唐揚げにレモンも、酢豚にパイナップルも長らく嗜好の問題として議論されてきましたが、実はこんな効能があったのですね。今まで食べず嫌いだった人も、この機に試してみてはどうでしょう?
このように、食材の特性や栄養を考慮して調理法を考えるのが調理学です。食材を組み合わせた時の効能や加熱方法、保存方法に至るまで、科学的な視点も併せて研究します。唐揚げにレモンや酢豚にパイナップルのように、ちょっと意外な組み合わせでも、両者の効果を引き出しあい、おいしく食べられるよう工夫しています。普段の目にする料理の中に潜む工夫が気になる人は、学んでみるといいかもしれません。
この記事のテーマ
「栄養・食物」を解説
食べることから健康な生活にアプローチすることを目的としています。ただ生きるために食べるのではなく、より良く生きるために食べるという考え方です。栄養学は食物に含まれる栄養素について学び、生理学の知識を踏まえ、適切な栄養指導を行います。そのためには栄養学や病理学などの広範な知識も必要です。食物学では人によっては摂取しにくい食材を食べやすくしたり、よりおいしく食べるための調理方法の研究なども行います。
この記事で取り上げた
「調理学」
はこんな学問です
おいしく食べられる調理方法だけでなく、栄養学などの観点からも、適切でより効果的な調理理論、技術を学ぶ学問。調理過程における食材の化学変化などを研究し、食材の本来の風味や食感、色合いなどを生かし、かつ必要な栄養を十分に得るために必要なことを学習する。器具、設備、切る・混ぜるなどの取り扱い方法、加熱方法、保存方法などを科学の視点から追究する。調理士のほか、管理栄養士、フードコーディネーターなどへ進む道がある。
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