ネイマールは自家用ジェット機を持っていても使えない!? 自分のお金や持ち物が使えなくなることがある?

2016年2月、サッカー・ブラジル代表ネイマール選手が、お金に関するニュースで注目されました。「所有するヨットやジェット機などが使えなくなる」といいますが、一体どういうことなのでしょうか?
この記事をまとめると
- 税金の未納や脱税をした人は資産凍結され、自分の財産が差し押さえられる
- 2月にサッカーのネイマール選手が億を超える資産を凍結された
- 国家間やテロ対策でも行われ、世界ではテロ撲滅に向けて法整備の動きがある
自分のヘリなのに使えない? “資産凍結”ってどういうこと?
みなさんは、「資産凍結」または「差し押さえ」という言葉を聞いたことがありますか? ニュース番組で、いわゆる「税金Gメン」が会社や豪邸に住んでいる税金滞納者の家へ行き、家にある車やパソコン、現金を「差し押さえ」している様子を見たことがある人もいるのではないでしょうか。
2016年2月にも大きな差し押さえの事件が報道されました。スペイン・バルセロナに所属するサッカーブラジル代表のネイマール選手が脱税疑惑により、ブラジル当局から“資産を凍結”されたのです。
その結果、ネイマール選手が持っていたヨットやジェット機など約55億円の資産が差し押さえられ、自分では使えなくなってしまいました。ちなみに脱税していた額は約18億円。「それだけの収入があれば払えるはずの税額なのに、払わないのは悪質」とみなされて、せっかく買ったジェット機ですら動かせなくなってしまったのですね。
処罰のためだけじゃない? 資産を凍結させる意味って?
このように個人や会社の資産を凍結するのには、意味があります。もともと、資産凍結とは会社の倒産や個人の脱税、国家間、テロ対策で行われるものでした。
例えば、税金を滞納している人に支払いを求めたとき、自分の資産を友人や親戚に預かってもらって「自分には支払う能力がありません」と騙そうとするケースがあります。それを防ぐために、資産を隠したり、移動させたりできないよう凍結させているのです。そして資産が凍結されている間に裁判にかけられます。
資産凍結はあくまでも一時的な措置なので、ネイマール選手も規定の税金を払えば、資産は戻ってきます。あくまで「資産を勝手に処分されないため」の処置なのですね。
テロ対策もバッチリ? 世界で高まる法整備の動き
近年では、テロ資金への凍結も注目されています。テロ組織の収入減となる事業を停止させたり、援助する個人の資産を凍結させたりなど、その手法はさまざまです。この動きは現在世界的に強化され、法整備の動きも高まっています。
お金の動きというのは、そのまま世界情勢を反映しています。貧富の差や国家間の問題が、世界経済に現れることもあるのです。そういった情勢に対応するため、新たな法が整備されていきます。私たちの生活のあらゆる部分に関わる法律。気になった方は、法学を学んでみるとよいかもしれません。
この記事のテーマ
「法律・政治」を解説
国家は通常、多数の国民によって構成されています。それぞれ考え方が異なる国民をひとつの国家としてまとめようと考えれば、法律によって義務や権利を定め、政治(行政)によってそれらをきちんと運用していくことが必要になります。歴史上、多くの国家がこうしたことを目指し、あるものは成功してあるものは失敗してきました。どのようなときにあっても、道しるべとなるべき法曹家や政治家や評論家などの専門職は不可欠です。
この記事で取り上げた
「政治学」
はこんな学問です
社会制度の基礎となる枠組みを決めるのが政治であり、政治理論、政治思想史、政治史、公共政策、国際政治などについて総合的に研究するのが政治学である。具体的には、国内の少子高齢化と介護福祉の問題などの目の前の問題から、世界の平和を危うくする紛争と難民の問題まで、政治学的なアプローチによる幅広い研究がなされている。また、より公正な政治を実現するために、国によって異なる国家を統治する仕組みや制度についての比較研究も行う。
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