それ、どういう意味? 聞いたことはあるけど使い方が分からない慣用句

面接や発表の場ではスマートな言葉遣いでとドヤ顔を見せておきたいところですが、一度ミスを犯してしまうと信用を失いかねないもの。複雑かつ表現豊かな日本語を自由自在に使いこなすため、今一度慣用句のおさらいをしておきましょう。
この記事をまとめると
- “煮詰まる”“煮え切らない”どっちがマイナスの意味なのか
- 誤用しやすい“浮き足立つ”“浮き立つ”の違いって何?
- 今さら訊けない、的を“射る”“得る”は結局どっちが正解なのか
“煮詰まる”“煮え切らない”どっちがマイナス?
しばしば「考えが~」「アイデアが~」「意見が~」という具合に停滞状況を表すときに使用されているこの2つの成句ですが、前者はポジティブ、後者はネガティブな場面で使うのが正解です。そもそも“煮詰まる”は“煮えて水分がなくなる”という本来の意味と同じく“討議・検討が十分になされて、結論が出る段階に近づく”ことを表します。“行き詰まる”と混じって誤用してしまいがちですね。
そして、“煮え切らない”は文字通り優柔不断であること、ぐずぐずしていることを表します。うっかり水やお醤油やお酒やお出汁を入れすぎてぐちゃぐちゃの煮物を完成させてしまったときの悲しみをイメージしてみてください。そしてそれを胃の中に収めなければならない不幸を想像してみてください。きっとものすごくやりきれないでしょう。人なら誰しも迷いがあるものですが、限られた時間を有効活用するために後悔しない判断を心がけましょう。
“浮き足立つ”“浮き立つ”の違いとは?
そわそわして落ち着きのない状態を表す慣用句として「あいつ、調子に乗ってんな」といった皮肉や揶揄も込めて使用されますが、実はこれも微妙ながら放っておいてはいけない違いがあります。まず“浮き足立つ”は、「不安などから落ち着きを失う、逃げ腰になる」といった恐怖心や動揺からくるそわそわを表します。一方“浮き立つ”は「うれしさのあまり落ち着かなくなる、興奮する」などのプラスの感情が沸騰したような状態を表します。前者が足下がおぼつかないイメージ、後者が天にも昇りそうな喜び、と例えれば分かりやすいでしょうか。
漢字にすればたかが1字、音にしてもわずか2音でついつい見逃しがち、聴き逃しがちではありますが、こういった微細なニュアンスの違いを把握できてこそ「調子に乗る」ことが許されるというものです。せっかくなのでこれを機にマスターしておきましょう。ただしれぐれも“浮き立つ”ことなくクールにふるまうことを忘れずに!
今さら訊けない!的を“射る”“得る”?
「慣用句の間違いあるある」の絶対王者といえば“的を射る/得る”です。長年議論されてきた“的を射る/得る、どっちが正しい論争”ですが、そもそも「的を射るという表現は“正鵠を得る(物事の核心をつく)”のバリエーションの一つである“正鵠を射る”が転じたもの」という説が流布され、そこから派生して“的を得る”が生まれたとされています。現代に至るまで、辞書に掲載されたり、いったんは削除されたり、かと思えば再録されたりといった波乱万丈な歴史を繰り返してきたわけですが、結論をいえば“どちらとも断定できない”というのが本当のところのようです。
全く“煮え切らない”ラストになってしまいましたが、「スマホでググればすぐ出てくるし」と勉強をおろそかにしてはいけません。大事な場面で頼りになるのは携帯ではなく自分の知識です。ここぞというときに誤った表現をしないためにも、知ったかぶりはせず、意味をしっかり理解した上で慣用句を使いこなしましょう!
この記事のテーマ
「語学・外国語」を解説
世界中にはさまざまな言語が存在します。言語は思考の原点ですから、それだけ多くの考え方が世界にはあり、言語の数だけさまざまな文化が存在するということです。世界中の人々が幸福に生活するためには、相互理解が欠かせません。その架け橋となるのが語学です。言語の成り立ちや文法、発音などの構造的な特徴を追究し、外国語を習得してコミュニケーション能力を高めることで、国際人としてのグローバルな視野を養います。
この記事で取り上げた
「語学(日本語)」
はこんな学問です
自国の言葉である日本語を、世界の言語の一つと考えて、客観的に学ぶ学問。構造や成り立ち、変化、地域性など日本語の特質を研究する。日頃は無意識に使っている日本語や周囲を取り巻く日本文化を客観的に捉えることで、日本語を正しく教える能力なども含めて、幅広く正確な表現力を身に付ける。また、言語と文化の関わりを客観的に分析することで、日本文化を世界に発信していく役割など、異文化コミュニケーションにもつながる力を養う。
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