アスリートは体験している!? スポーツ中に起こる「ゾーン」ってなに?

この記事をまとめると
- 「ゾーン」に入ると、スポーツなどでいつもより高いパフォーマンスが出る
- ゾーンは、人間が極限まで集中して、脳が情報を高速処理している状態だといわれている
- ゾーンに入るかどうかは、人間の心理状況が関わっているはず
緊張でダメになるのとは真逆のパターン?
部活動で重要な試合に出たとき、あるいはテストで問題を解いているとき、「いつもよりうまくできなかった」という経験をしたことはありませんか? 普段はできていたプレーができなくなる。後から振り返ったら簡単に解けた問題が、そのときはなぜか分からなかった。そんな出来事は、自分の能力というより、緊張によって起こっていると言われています。
その反対に、試合やテストで、いつもよりズバ抜けて冴(さ)えている状態になったことはあるでしょうか。実は、日々競技に励むスポーツ選手の場合、この「ズバ抜けて冴えている状態」を経験することがあるそうです。その状態のことを「ゾーン」と言います。いったいどんな現象なのでしょうか。
緊張やストレスをなくし、100%集中する
ゾーンを体験したことのあるスポーツ選手は、その感覚を「体が勝手に動き、すべて自分の思い通りのプレーができた」「時間が止まっているようにゆっくり動いた」「負ける気がまったくせず、強気にプレーできた」と言っています。
これらは、決して超常現象ではありません。脳が極限まで集中し、いつもとは比べものにならないほどのスピードで情報を処理しているのです。入ってきた情報を自分が考える前に脳が本能的に処理して、体が動いているんですね。ゾーンは、そのような状態に近いのかもしれません。
とはいえ、ゾーンの細かなメカニズムは完全には解明されていないため、どうすればゾーンに入れるかは分かりません。ただし、ゾーンにはその人の心理状態が深く関わっていることは確かです。
もっとも大きいのは「緊張」。「失敗したらどうしよう」「前回より点数が落ちたらどうしよう」と考えてしまうと、脳はそちらの情報処理で手一杯になってしまい、目の前の試合やテストに100%の力が出せなくなってしまいます。また、緊張によりストレスを感じると、心臓のリズムが乱れ、それが脳に悪影響を及ぼすとも言われています。ゾーンに突入するには、緊張やストレスをなくし、目の前の試合やテストに100%集中することが、最大のポイントなのです。
スポーツにもつながる「心理学」の重要性
スポーツやテストなどにおいて、結果は集中力に大きく左右されます。そしてそのベースとなるのは、本人の精神状態。つまり「心理」なのです。スポーツ選手がゾーンに突入できるかどうかも、人間の心理が大きく関わっているはずです。
このような、人間の心理について研究するのが心理学。最近は、スポーツで「メンタル」という言葉も聞かれるように、心理学と人間のパフォーマンスの関連はとても強く、「スポーツ心理学」といった領域の研究も行われているくらいです。スポーツをはじめとした、人間の心と体の強い結びつきに興味を持った人は心理学を勉強してみてはいかがでしょうか。
この記事のテーマ
「人間・心理」を解説
人を研究対象として、人間の心理や身体、人間が作る社会集団、生活の特徴やあり方を研究します。人間科学は、人間という存在や関係性そのものを研究し、学習範囲は栄養学から文化人類学、スポーツ科学まで広範囲にわたります。心理学は人間の心や行動の特徴を分析・解明します。ストレス社会と呼ばれ、心の病に苦しむ人が増加している現代では、なかでも臨床心理学の重要性が注目されています。人間の存在意義の基礎となる学問です。
この記事で取り上げた
「心理学」
はこんな学問です
人間の心理や行動がどのような原理で動いているのかを研究する学問である。それにはさまざまなアプローチがある。たとえば、認知心理学では対象を知覚してから言語化するまでの作用を情報処理のプロセスとして理解する。発達心理学は人間が誕生してから死ぬまでの心の変化が何によるのかを探究する。臨床心理学は心のバランスを崩してしまった人の状態の改善をめざす。志望校に自分の本当に学びたい心理学があるかどうかを必ず確認することが大切だ。
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