宇宙規模のポイ捨てがタイヘンな問題になっている!?
メイン
テーマ

この記事をまとめると
- 地球の周辺を漂い続ける「宇宙ゴミ」が大きな問題になっている
- 宇宙ゴミは衝突すればスペースシャトルを破壊してしまう恐れのある、危険な存在
- 「宇宙の使い方」は、「宇宙学」の研究対象である
地球を覆う「宇宙ゴミ」ってなに?
みなさんは宇宙といったら、どんなイメージを持ちますか?
たとえば、酸素も音もなければ空気抵抗もないせいで、一度スペースシャトルから放り出されてしまったら、何かにぶつからない限り延々と飛んで行ってしまうような、とても怖い宇宙を描いた映画『ゼロ・グラビティ』。本作は、カメラが無重力空間を自由自在に動き回る映像が高く評価され、第86回のアカデミー撮影賞を受賞しています。みなさんの中でも、映画館やDVDで観たという人も多いのではないでしょうか。
そんな『ゼロ・グラビティ』、物語の発端となったのは、主人公たちが乗っているスペースシャトルに人工衛星の破片、「宇宙ゴミ」が衝突したことでした。
多少現実とはそぐわない設定も指摘されている『ゼロ・グラビティ』ですが、宇宙ゴミ(スペースデブリ)については、決してSFの世界のものではありません。いま現在、実際に「宇宙のポイ捨て」は問題になっていて、宇宙ゴミと人工衛星との衝突事故も起きています。宇宙ゴミは宇宙で活動する人間を危険にさらしてしまうことになり、私たちの宇宙での研究・開発を妨げているのです。
ゴミがゴミを生み、放っておくと増え続ける宇宙ゴミ
この宇宙ゴミの正体は、人工衛星やスペースシャトル打ち上げに使われたロケットなどの破片。宇宙空間に打ち上げられた人工衛星を回収し、地球上に持ち帰るのは非常に困難ですから、宇宙空間にゴミがたまっていきます。そして、ゴミ同士が衝突して細かいゴミになり、細かいゴミ同士が衝突してさらに細かいゴミになり……といったように、宇宙ゴミが宇宙ゴミを生み出してしまう悪循環が生まれているのです。2009年には人工衛星同士の衝突事故もありました。
そもそも、人工衛星はロケットエンジンで地球の周りを回っているわけではありません。人工衛星に与えられたスピードによる遠心力と地球の重力とが引き合うことによって、一定のスピードで、地球の重力が届く範囲内(地球の衛星軌道上)を回り続けているものです。つまり、寿命で運用を停止した人工衛星は勝手に宇宙の彼方へ飛んでいくわけではなく、数年から数百年の間、宇宙空間をただよった末に地球に落下するか、静止軌道(高度3万6000km)以上のものは徐々に軌道をずれながら、半永久的に回り続けてしまいます。その結果、地球の周りにはこれから先に落下するものと、落下する見込みのない宇宙ゴミがたまっていってしまいます。
衛星軌道上の宇宙ゴミは、地球に近いものは秒速7kmと、とんでもないスピードで地球の周りを回っています。そのスピードで衝突すれば、直径が10cmほどの宇宙ゴミでもスペースシャトルを完全に破壊してしまいます。宇宙を漂うゴミは、それほど危険な存在なのです。
これから先の「宇宙の使い方」を考えていく「宇宙学」
スペースシャトルや宇宙ステーションと、そこで活動する宇宙飛行士を危険にさらさないように、宇宙ゴミはすぐにでも解決しなければいけない問題になっています。宇宙ゴミ問題の解決のために、宇宙空間に漂っている宇宙ゴミを捕まえて地球の大気圏まで持ち帰り、流れ星と同じように燃やしてしまう研究や、小さい宇宙ゴミを取り去ってしまうレーザーの開発なども進んでいます。しかし、宇宙ゴミについての国際的な取り決めができたのが2007年と、その活動はまだ始まったばかりのようです。
宇宙を中心のテーマとしながら、火星探索や月の資源など他の惑星のことや、人工衛星などを使った国際的な宇宙空間の利用方法などを考えるのが、「宇宙学」です。これまでは研究・開発ばかりでしたが、現在は宇宙空間をいかに利用していくかを考えていかなければいけない状況になっています。宇宙開発に可能性を感じた人は、宇宙学から、その興味関心を広げてみてはいかがでしょうか。
この記事のテーマ
「地球・環境・エネルギー」を解説
私たちの暮らす地球では、火山噴火、地震、台風、干ばつなど、人類にとって有害な現象が続いています。また、人間が地球資源を使いすぎたり、自然環境を破壊したりして、自らの首を絞める結果を招くこともあります。そうした現象を研究・解明し、この地球上で人類がこれからも快適に生き続けるための方法を模索します。
この記事で取り上げた
「宇宙・地球学」
はこんな学問です
地球の構造から入り、太陽系の惑星、太陽、その先の宇宙へと広がる世界を研究する学問である。あらゆる観察技術を使い、地球誕生までさかのぼり、さらに宇宙の始まりと進化まで探る。研究する分野も広大であり、宇宙から降り注ぐさまざまな光線や電波をキャッチし、分析している。また、観測技術においても常に新しい技術を取り入れながら前進を続けている。
-
PICK UP! 「宇宙・地球学」について学べる学校
-
地球・環境・エネルギーについて学べる学校
