「編集者」ってどんな仕事? 有名音楽雑誌の編集者にいろいろ聞いてみた
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情報を取りにいくことはWebであろうと紙面であろうと、媒体や形を問わない時代となってきた昨今。オウンドメディアが乱立し、さまざまな情報が交差する中で、「雑誌編集者」という職業はどういった仕事をしているのでしょうか。今回は有名音楽雑誌の編集部で働かれている方にお伺いしてみました。
この記事をまとめると
- 音楽ライター・編集者は専門性が高く、常に少数精鋭の状態
- 編集者は文字の修正をするだけではなく、企画のディレクションが中心
- 今後はWebサービス同士が相乗することで、さらに新しい音楽との出会いがある
"音楽"という業界を通してみた間口の狭さ
――早速なのですがまず、「ライター」と「編集者」の大きな違いについて教えていただけますか?
ライターは「取材に行って原稿を書くことを仕事にしている人」ですが、編集者は「ライターにうまく活躍してもらって、出来上がった原稿を編集することを仕事にしている人」ですね。ただ編集者は、スケール的にも、業界全体を見通した上で書きたいと思った記事をつくるまでの諸々を担い、請け負うことも仕事だと思っています。
――音楽雑誌でいうと、「このアーティストを特集しよう」というのは編集者が独断で決めて、ライターに文字書きや取材をお願いするということですか?
基本的にはそうですね。あとは編集長が「次はここ(アーティスト)を特集するぞ」と決めたものを進めたりします。ちなみに、「音楽情報誌」っていうのは業界が狭いので、お願いするライターさんは、ある程度事前に決めておいてますね。こういうジャンルだったら○○さん、これだったら○○さん。というように。
――業界的にも間口が狭いんですね。
そうなんです。例えば、アパレル系女性誌の数ページにCDのレビューコーナーとかあるじゃないですか。そういう人が音楽雑誌のライターもやってるんですけど、それができる人って実は数人程度なんですよね。
――数人しか書き手(ライター)がいないってことですか!?
いえ、言い方を変えれば「ほんの一握りの人が選ばれている」ということです。どこの業界もそうかもしれませんが、選ばれているのは上から数えても、数人程度なんです。
編集者の仕事は編集だけじゃない
――ではその「音楽ライター」はどのような人が選ばれるんですか?
編集者の立場から見ると、“全体のことが分かっているかどうか”だと思います。ちなみに、「全体」という言葉を用いましたが、これは“音楽全てのジャンルを網羅しておく”ってことではなくて。例えば、媒体が取り上げるアーティストのことが分かっている、知っているのかどうかですね。さらに細かくいうと、そのアーティストの歴史だったり文脈だったりをある程度分かった上で取材・執筆ができるかどうかだと思います。
――では、編集者の作業内容ってディレクション(指導や監督)に近いものなんですか?
そうですね。さっき話した「原稿を修正する」ということもそうですが、アーティストのためにロケハン(ロケーション・ハンティング)をしたり。例えば、音楽雑誌の場合は企画でプッシュするアーティストの写真を撮るための撮影場所も考えるんです。アーティストに合った街の風景やお店の雰囲気とかを提案して、それを通すんです。その後、ライターとカメラマンに取材や撮影に行ってもらうって流れが一般的ですね。
編集者にとってのアンケートハガキ
――雑誌編集者としての、やりがいを具体的に教えていただけますか?
雑誌の場合は、Webと違って「アンケートハガキ」があることをご存じですか? 僕の場合、やりがいはそのアンケートハガキなんです。自分が担当したバンドの企画を読者に褒められるとめちゃくちゃ、うれしいんですよ。「~さんのあの記事がよかった」といった反応がもらえたときにやりがいを感じます。僕が入社した当時は今みたいにSNSなんかも流行していなかったので、ツイッターやフェイスブックが流行しきっている現在でも、アンケートハガキの存在は大きいですね。
――音楽雑誌の今後の展望を教えてください。
音楽雑誌がサブスクリプションサービス(コンテンツ配信サービスのこと。音楽であれば、楽曲聴き放題のサービス)とどれだけ抱き合っていけるかじゃないですかね。『LINE MUSIC』であれば、フィルタのかかっていない生の声がきけるサービスと提携したりするということです。ジャケットしか見えないサービスには限界があると思うので、その声の部分を雑誌編集者が担う必要があるんじゃないのかなって思います。もっと分かりやすくいえば、知識の部分だけを音楽雑誌編集者が担うことで、「これが好きなあなたはこれも好きでは?」というサジェスチョン(提案)ができるようになるじゃないですか。だから、ユーザーも常に新しい音楽に出会うことができるということです。
編集と聞くと「原稿を直す仕事」というイメージが先行しがちですが、ライターのハンドリングや新しい企画の立案など、さまざまな仕事を担っていることが分かりました。「自分の好きな物や人を社会に向けて発信したい!」という思いがある人は、将来の選択肢の一つとして考えてみるといいかもしれませんね。
この記事のテーマ
「マスコミ・芸能・アニメ・声優・漫画」を解説
若い感性やアイデアが常に求められる世界です。番組や作品の企画や脚本づくり、照明や音響などの技術スタッフ、宣伝企画など、職種に応じた専門知識や技術を学び、実習を通して企画力や表現力を磨きます。声優やタレントは在学しながらオーディションを受けるなど、仕事のチャンスを得る努力が必要。学校にはその情報が集められています。
この記事で取り上げた
「編集者」
はこんな仕事です
雑誌や書籍、漫画、パンフレットなどの内容を企画し、スタッフを采配してつくり上げる仕事。予算やスタッフ構成、発行日などの計画を立て、作家が必要な場合は交渉やストーリー展開の相談も編集者の仕事の一つ。制作が始まったら各スタッフへ仕事を依頼し、集まった原稿や画像などを整理してデザイナーと一緒に紙面の構成を行う。進行管理と印刷所とのやり取りも編集者の領域で、やるべきことは非常に多い。担当した企画への反響があればやりがいは大きい。最近ではWebサイトの編集者も増えている。
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