水族館の深海魚って、どうやって飼育しているの?

この記事をまとめると
- 水族館の深海魚は、釣りや無人潜水艇によって捕獲している
- ガスで膨らんでしまった魚を助ける方法がある
- 水族館の飼育係は、餌やりや水槽の掃除、魚の繁殖などを行う
深海魚はなぜ水族館で飼えるの?
みなさんにとって、子どもの頃に行った遠足の定番といえばなんでしょうか? 水族館や動物園を思い出す人も多いかもしれません。見たことのない珍しい魚や動物を見ると、とてもワクワクするものですよね。
その中でも、子どもの好奇心をくすぐる生物といえば、水族館の「深海魚」。体が透明な魚や、虹色に光る魚、目やヒレが奇抜な形をした魚など、そのどれもが一般的な魚と違った見た目をしているので、興奮する人もいれば、恐怖を覚える人もいるでしょう。
しかし、ここで一つ疑問が湧きませんか? 深海は、海の深い場所にあるため、それよりも浅い水域と比べて、水により生じる水自体または物体に及ぼす圧力=水圧が高くなるため、魚たちが住む環境も大きく異なります。それなのに、なぜ地上にある水族館で、ほかの魚たちの水槽と一緒に並べて、深海魚を飼育できるのでしょうか。今回は、その気になる飼育方法をご紹介します。
注射の針を深海魚のおしりに刺してプシュー!?
一般的に深海魚とは、海の水深が200m以上の場所に暮らす魚のことを指します。まず、そんな深い場所にいる魚たちを飼育員はどのように連れてくるのかというと、主な方法は、長い釣り糸で釣るというシンプルな方法。また、“ROV”と呼ばれる遠隔操作による無人探査機を使い、モニターを見ながらリモコン操作で捕獲することもあるそうです。
しかし、釣り上げられた深海魚たちは、そのまま深海から地上へ上げてしまうと、水圧の変化によって、眼が飛び出したり腹がぷっくりしたり、体に大きな影響が出てしまい生きていきません。そこで、魚のおしりから注射を刺し、水圧によって体内でふくらんだガスを抜き取ってあげるのです。その後、高めの水圧に調整された水槽に移し、さらにその後、普通の水槽に移す、というように水族館の環境に徐々に慣らしていくそうです。
餌やりや水槽の掃除、魚の繁殖など、飼育員の仕事はさまざま
深海魚をはじめ、展示する魚たちを管理するのは、水族館の飼育係の大事な仕事です。餌やりや水槽の掃除、お客への解説など、仕事は盛りだくさんです。さらに、深海魚のような珍しい生物を繁殖さるという大きな役割もあります。魚に関する幅広い知識と体力が必要になりそうです。
魚や海が好きで、水族館で働きたいと思っている人もいるかもしれません。水族館の飼育係になるには、大学や専門学校などで海洋学について学んでおくと、きっと役に立つはずです。日本は海に囲まれていることもあり、100以上の水族館がありますが、その一つひとつに飼育員たちの努力が隠されているのです。水族館の飼育係の仕事をもっと知りたいという人は、まずは実際に水族館へ足を運んで、魚や飼育係の様子を観察してみてはいかがでしょうか。
この記事のテーマ
「動物・植物」を解説
生き物を取り扱う仕事には、動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野や、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。また盲導犬や警察犬などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。この仕事をめざすには、動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、希望する職種に必要な技術修得が必要です。
この記事で取り上げた
「水族館の飼育係」
はこんな仕事です
水族館の魚など水生生物をはじめ、さまざまな生き物を飼育する仕事。人工空間の中でも生き物たちが快適に過ごせるように水質を管理したり、餌を与えたりする。病気の予兆や異常をチェックして飼育環境を整え、生き物たちの健康状態を保つのも重要な役割だ。来場者に、水生生物の特徴や魅力を伝えるのも仕事の一つ。イルカやアザラシなどのショーを開催する水族館の場合は、調教や来場者を楽しませる企画の考案も含まれる。その他水槽の掃除や展示物・観覧通路の確認、生命維持装置の点検など、仕事の幅は広い。