鳥を使った、岐阜県の伝統的な漁法とは?

この記事をまとめると
- 鳥を使って魚を獲る「鵜飼い」という方法がある
- 鵜飼いは、奈良時代から続いてきた伝統的な漁法
- 長良川の鵜飼いは国家公務員である
日本の漁法で珍しいものといえば?
テレビドラマ『あまちゃん』の中で、主人公が素潜りでウニを捕る様子が描かれていましたが、日本の漁法にはさまざまなものがあります。よく知られているのが、網で獲る、釣って獲るというものですが、ほかにも、船からヤリで刺したり、水中に仕掛けを置くという方法もあります。
そんな中でも、特にユニークな漁法なのが、ペリカンの一種である「鵜(う)」を使って鮎を獲る、「鵜飼い」という方法。今回は、日本で古くから親しまれているこの漁法についてご紹介します。
大きな口に魚が10匹も入る!
鵜は世界中に生息している鳥で、40種類近くいるそうです。鵜飼いに使われるのは、主に「海鵜(うみう)」という種類。海鵜はアジア地区にのみ生息しているため、中国や日本で鵜飼いという漁法が発展しました。
鮎には漁ができる期間が決められているので、6月の解禁日に合わせて、鵜飼いを始めていきます。鵜飼いは、鳥を使って漁を行うため、もちろん誰にでもできるわけではありません。鵜匠(うしょう)と呼ばれるプロの人が、1人につき12羽程度の鵜をあやつり、漁を行います。鵜は水中で鮎を飲み込んでいきます。
鵜のノドは、ペリカンのように袋形をしているので、鵜が鮎をたくさんつかまえたら、ノドの下をヒモで締め、飲み込んだ魚を吐き出させます。鵜や鮎のサイズにもよりますが、10匹ぐらいは同時に飲み込むことができるのだとか。魚を10匹も丸飲みできるだなんて驚きですね。
鵜飼いの中には国家公務員もいる!?
鵜飼いは日本古来の漁法で、奈良時代から行われていたと言います。今でも、岐阜県や愛知県、京都などで夏の風物詩として親しまれており、特に有名なのは岐阜県岐阜市の長良川での鵜飼いです。長良川では1300年も前から鵜匠の手により鵜飼いが続けられ、実際にその様子を見るために、たくさんの観光客が訪れています。
また、長良川の鵜がとった鮎は、皇居や明治神宮、伊勢神宮に奉納されることがあるため、特別に「宮内庁式部職鵜匠」と呼ばれ、伝統的な漁法が受け継がれています。そのため、宮内庁式部職鵜匠は国家公務員になるようです。
鵜匠は、何年もかけて経験と訓練を積み、鵜飼いを行うだけでなく、日本の伝統を次の世代につないでいく貴重な仕事です。興味が湧いた人は、まずは鵜飼いを見学しに行ってみてはいかがでしょうか。
この記事のテーマ
「動物・植物」を解説
ペットなど動物や観賞用の植物に関わり暮らしに潤いを提供する分野、食の供給や環境保全を担う農業・林業・水産業などの分野があります。動物や植物の生態や生育に関する専門知識を身につけ、飼育や栽培など希望する職種に必要な技術を磨きます。盲導犬や警察犬、競走馬、サーカスの猛獣などの調教・訓練や水族館や動物園で働く選択肢もあります。
この記事で取り上げた
「鵜匠(うしょう)」
はこんな仕事です
潜水して魚を捕食する鵜(う)の習性を利用して、アユなどを捕る伝統漁(鵜飼い)をする人。風折烏帽子、漁服、胸あて、腰みのの装束を身に着け、鵜を自在に操り、魚を捕る手さばきは見る人を感動させる。日本の鵜飼いは、岐阜・愛知・京都などで行われているが、歴史は古く、律令時代には鵜飼人が宮廷直属の官吏として漁をしていた記録がある。現在では観光的色彩が強く、中でも有名な長良川の鵜飼いは、宮内庁式部職の肩書きも持つ。鵜匠になるには世襲制が多く、ほかに弟子入門が考えられる。