奈良県で増殖中? 見た目もヤバい毒キノコ「カエンタケ」!

この記事をまとめると
- この世にはとてつもなく恐ろしい殺傷能力を持ったキノコが存在する
- キノコをはじめとする「菌」を食べる“菌食”は我々人間の生活にかかせないもの
- 食べるだけじゃない! キノコの活用法について研究が常におこなわれている
どこからどう見てもデンジャラスなキノコが実在する!?
地球上のあらゆる土地にさまざまな種類が生息するキノコ。夏はバーベキューやホイル焼き、冬場はお鍋の具に欠かせない食材としても人気ですよね。もちろん人によって「私、エノキダケが好き〜」「え~オレ、シイタケだけは苦手!」なんて好き嫌いが多い食べ物ではありますが、この世にはそんな好き嫌いをはるかに超えたデンジャラスなキノコがあるんです! それが見た目にも恐ろしいキノコ「カエンタケ」です。
カエンタケは、漢字では火炎茸・火焔茸と表記され、ニクザキン目ニクザキン科ニクザキン属に属する子嚢菌(しのうきん)の一種です。見た目はまさに“メラメラと燃える炎”そのもので、最初に食べた人は何を考えていたんだろう? というくらいのインパクトがあります。
カエンタケの恐ろしさは、見た目のこけおどしだけではありません。食べると死亡することがあると言われるほどの極めて強い毒性を持っており、触ることすら危険な毒キノコなのです。
日本でも死亡例あり! 山登りで遭遇しても絶対触ったらダメ!
そんなキノコが存在することすら驚きですが、中国やインドネシアのジャワ島などのほか、日本でも関西や東北地方など、各地でその姿が確認されています。致死量はわずか3g程度と強力で、日本でも過去に死亡例があります。特に奈良県で多く発生しているので、学校行事の山登りなどで万が一見つけても、絶対に触るのはやめておきましょう。
カエンタケのような猛毒を持つ種類もあれば、マツタケやシイタケのようにおいしく食べられる種類もあるキノコ。そもそも、キノコはカビと同じ「菌類」に属する生物です。カビと同じ、と聞くと口にするのがためらわれますが、例えば納豆は納豆菌、ヨーグルトは乳酸菌といった具合に、菌を食べる「菌食」は私たち人間の生活に深く浸透しているんです。
菌類はもともと人類の味方です!
菌類は医薬品にも大きく貢献しており、抗生物質やビタミン、酵素など多くの物質が菌類の力を借りて作られています。また、キノコを原料とした抗がん剤が治療に使用されている例もあります。
2012年11月には、東京農業大学総合研究所内に「きのこ研究部会」が創設され、そこでは、機能性食品や医薬品原材料としても広く活用されるキノコについてより深い研究がおこなわれています。
奥深い世界がありそうな菌類の生態。生物学や農学の研究が進めば、新たな活用法が発見されるかもしれませんね。ですが、くれぐれもカエンタケだけには近づかないようにしましょう……。
この記事のテーマ
「農学・水産学・生物」を解説
私たちはほかの生物から栄養をもらって生活をしています。しかも、採集や狩猟だけではなく、食物を生産するという手段を得て、今日のように繁栄しました。人口増加や環境悪化などに対応し、将来的に安定した食料の確保を維持するためには、農業、林業、水産業などの生産技術の向上が必要です。さらに突き詰めて考えれば、動植物や微生物などの多様な生物に対する研究も重要です。自然との共生が大きなテーマになる学問です。
この記事で取り上げた
「生物学」
はこんな学問です
マクロな地球の生態系からミクロな細胞の世界まで、さまざまなレベルで起きている生命現象を実験・観察することによって研究する学問である。人間を含めた動物・植物・微生物など、あらゆる生命体が研究対象となる。主な研究分野としては、タンパク質を中心にした生体内の高分子の機能をその構造から研究する「構造生物学」、生態系の構成要素である生物と環境の関わりを研究する「環境生態学」などがある。
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