夫婦が2人で建てた人気マンションが高知県にあるってホント?
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この記事をまとめると
- 自力で家を建てる人を「セルフビルダー」という
- 夫婦2人だけで手作りしたマンションも存在する
- ホームセンターで買える材料のみでビルを建築している人もいる
自力で家を建ててしまう人がいる!?
みなさんが普段暮らしている一戸建てやマンションといった「家」。私たちが学校から帰ってきて、リラックスして生活ができるのも、安心できる家という存在があるからこそ。
この家を建てるには、住宅の設計を行う「建築家」と、実際に建設する人の力が必要です。大手の建設会社には設計の部署があり、住宅設計から建設まで、すべてを行うことができます。
そんな建築の世界に今、新しい流れが生まれています。「セルフビルダー」と言われる、自ら家を建てる人たちの存在です。セルフビルドとは「自力建設」という意味で、セルフビルダーとは土地を購入し、住宅の設計を行い、さらに建設工事まで自分で行う人たちのことを言います。
果たして本当にそんな事が可能なのでしょうか。今回は、セルフビルドで有名になった建物をご紹介します。
井戸掘りからクレーンまで! 夫婦2人で建てたマンションがある!
その建物とは、高知県の高知駅から10分ほどの場所にある、550坪・5階建ての「沢田マンション」。なんとこのマンションは、夫婦2人だけでの手でセルフビルドされた建物なのです。見た目は一般のそれと変わらない立派なマンションで、これをたった2人で建てたのですから驚きです。その目新しさから、全国から著名な建築家や研究家までもが見学に訪れるほどです。
夫妻は、もともとは一戸建てやアパートを建てて売る、建築の仕事をしてきましたが、かねてからの夢だった「100部屋あるマンションをつくる」ことに挑戦した結果、このマンションは生まれました。すべての作業は自分たちで行いますから、マンションを建てるための土台掘りも、資材の調達も、井戸掘りも、クレーンなどを使った建設工事も、キッチンやお風呂といった内部の設備工事も、すべて「手づくり」にこだわりました。1971年に着手したマンションの建設工事は、14年後の1985年に完成しました。
このマンションでは、住民が「楽しく暮らす」ことが最優先に考えられています。敷地内には、合気道教室やギャラリー、コインランドリーなど、住民同士が交流する場所があり、さらには屋上には池と畑があるなど、一般的なマンションと異なる点が多数あります。部屋の形や内装は、部屋ごとにすべてバラバラなので、マンション内で引っ越しを繰り返して楽しむ人もいるそうです。
そんな沢田マンションに衝撃を受け、実際にセルフビルドに挑戦している人がいます。東京都・港区には、ホームセンターで買える材料のみで建築中のビルがあります。建物名は「蟻鱒鳶ル(アリマストンビル)」。着工から10年が経過しており、テレビや雑誌で取り上げられるなど、今後の動向が注目されています。
自分たちにとって心地よい住まいを自力でつくる面白さ
セルフビルドは誰にでもできることではありませんが、住まいの建築に、新たな価値観を加える事例だといえます。自分たちにとって心地よい住まいを自分たちの手でつくりあげることができれば、より毎日の生活に住まいが溶けこみ、安心した暮らしを生みだしそうですよね。このような住まいをつくりだすセルフビルダーは、これからの時代の建築家の一つのあり方として、建築の職業に関わる多くの人々に影響を与えていくことでしょう。
もちろん、建築の勉強や実際の建設作業経験など、すべてを自分で行える知識や技術が必要であるため、建築に関わる職業の人々にとっても、セルフビルドを行うためにはたくさんの経験やチャレンジ精神が求められます。しかし、自ら建築家として、自分の住まいを自力で建設できるという点において、セルフビルドはとても夢のある方法だといえます。建築に幅広く関わりたいと考えている人にとっては、セルフビルドを切り口に、建築に関するさまざまな勉強に取り組んでみてはいかがでしょうか。
この記事のテーマ
「建築・土木・インテリア」を解説
人が活動し、生活する環境を整備する仕事です。建築や土木に関する分野と、インテリアコーディネイトなどのデザインに関する分野などがあります。資格取得のために学ぶことは、建築やインテリアの設計やプランニング、CADの習得など。依頼主の要望を具体化できる幅広い知識とコミュニケーション能力も求められます。