サッカーのプロ経験がなくても、プロチームの監督になれる?

この記事をまとめると
- 必ずしも名選手が名監督になるとは限らない
- 選手として実績がなくても指導者として活躍することができる
- サッカー界には、指導者を育成するためのライセンス制度がある
必ずしも監督がそのスポーツ経験者とは限らない!?
部活でサッカーをやっている人も多いと思いますが、選手にとって大切な存在なのが監督やコーチといった指導者です。ときには優しく、ときには厳しく、選手と共に歩んでくれる心強い味方です。そんな指導者になるためには、ほとんどの人がサッカーを経験しているものですが、必ずしもそうではない場合もあります。
2015年シーズン現在、イングランド・プレミアリーグの名門クラブ・チェルシーFCの監督を務めているジョゼ・モウリーニョは、実はプロとしての実績はありません。出身国であるポルトガルのユース代表に選出されたことはありますが、故障によって選手生活は短かった為です。その後いったん体育教師になったものの、指導者の道を志したモウリーニョは語学を勉強し、FCポルト、バルセロナといった名門クラブで通訳スタッフとして活躍しました。その後アシスタントコーチ、監督と徐々に指導者への道を歩みはじめました。
「グラウンドの周りを走っていても良いサッカーはできない」
モウリーニョの指導方法は既存の監督とは考え方が違いました。彼が指導するチームの練習時間は試合と同じ90分です。その間、グラウンドでの走り込みなどのフィジカル・トレーニングは一切しません。
モウリーニョはこの指導方について、「仮にピアノをうまく弾きたいなら練習でピアノを弾くはず。サッカーも同じ。グラウンドの周りを走っていても良いサッカーはできない」。確かにその通りかもしれません。プロ経験がないモウリーニョは選手を今よりも上手にすることはできないかもしれませんが、「チームで戦うことを教えることはできる。すべてはそのための練習」とも語っています。強い信念と人望によって、現在ではモウリーニョは世界最高の名監督の一人と称賛されています。
このように、プロとしての実績や、選手としての活動歴が少なくても監督・コーチとして活躍できるのがサッカーの世界です。ただし、もちろん誰でも簡単になれるわけではありません。日本では日本サッカー協会が、サッカー指導者の資格制度である「日本サッカー協会指導者ライセンス」という制度に基づき、指導者を養成しています。
この制度には、指導初心者を対象としているD級があるため、サッカーの選手の経験がなくても指導者の道をめざすことができます。以降はC級、B級、A級となっており、座学やチームでの指導経験などの実務を行うことで、協会が認定する指導者としてのライセンスを取得することができます。その制度の最上位に位置するのが「S級ライセンス」であり、これを取得することで初めてJリーグのトップチームや日本代表を率いることができるのです。
あくまでも勝利へとチームを導くのが監督・コーチの仕事
このように、キチンとした指導者養成制度があるサッカー界は大変成熟したスポーツといえるでしょう。競技で活躍した選手が、そのまま監督やコーチとして良い指導者になれるとは限りません。逆に言えば、選手として活躍した実績がないからといって、指導者としての能力がないとはいえません。あくまでもチームとして選手をまとめ、選手一人ひとりが一丸となって勝利へと向かえるようにするのが監督・コーチの仕事です。
将来、スポーツの指導者をめざしている人は、競技の技術だけでなく、指導者としての考え方を学んでみてはいかがでしょうか。
この記事のテーマ
「健康・スポーツ」を解説
スポーツ選手のトレーニングやコンディション管理に関わる仕事と、インストラクターなどの運動指導者として、心身の健康管理やスポーツの有用性を一般に広める仕事に分かれます。特に後者は、高齢化や生活習慣病が社会問題化する中、食生活や睡眠も含めて指導できるスペシャリストとして需要が高まっています。
この記事で取り上げた
「監督・コーチ」
はこんな仕事です
スポーツ選手を育成することが主な仕事。選手やチームの個性を把握し、練習メニューを考え、チームがよい成績を残せるように指導する。技術面だけではなく、選手を精神的に支え、モチベーションを上げることも重要だ。また、そのような指導力はもちろん、選手やチームをマネジメントする力も必要になる。チームを一つにまとめ、選手同士が高め合える環境をつくる。監督・コーチになる方法は、自分が選手として活躍したスポーツ分野を理論的に学び直し、まずはコーチとしてチームに入り、実績をつくった後、監督になるケースが多い。
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