推薦やAO入試、ホントに勉強しなくていいの?
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部活動や生徒会活動を一生懸命やって推薦入試やAOでの入学をねらっている人もいるでしょう。推薦入試やAOは勉強しなくて済むのでしょうか。今の入学前教育について紹介します。
この記事をまとめると
- 大学入試の方法には学力試験が必要でないものもある
- 一般入試以外で入学する学生が増えているが、大学入学までにさまざまな勉強が必要
- 合格者に入学までの学習として入学前教育を課す大学が増えており、文科省も推奨している
学力試験が必要ではない推薦入試とAO入試は本当に勉強しなくてもいいの
大学入試方法は、一般入試・推薦入試・アドミッション・オフィス入試(AO入試)の3つがあります。一般入試とはいわゆる各教科ごとのペーパーテストを中心とした試験です。学部や学校によっては面接や小論文が別に課されることもあります。これに対し推薦入試は、学業やスポーツの成績が優秀などの理由で、高校から推薦を受けたとができる生徒を対象にした入試です。大学は原則としてペーパーテストなしに、面接や小論文などで合否を判定します。また、AO入試は「アドミッション・オフィス入試」という総合的な入試形態です。AO入試では学力試験に偏ることなく、詳細な書類審査寧な面接などで受験生の能力・適性や学習に対する意欲・目的から合否を判定します。(文科省:「高等学校教育と大学教育の連携強化」に関する参考資料より)
一般入試がいわゆる学力試験をメインとした入試となります。みなさんの中には、勉強が嫌い、あまりしたくないという理由から、(2)と(3)の入試を志望している人も多いと思います。しかし、本当にそれで合格すれば、高校時代受験勉強をしなくても済むのでしょうか。
学力試験がないと入学後の学習のための準備学習課題がある!?
文科省の平成25年度入学者選抜実施状況の概要 (平成12年との比較)を見ると、選抜方法別の入学者の中で、推薦・AOの2つの入試での合格者の割合は大きく伸びています。特にAO入試は約6倍という驚異的な伸び率です。しかし、文科省では「推薦・AO入試が事実上の学力不問となるなど、本来の趣旨と異なった運用になっている例がみられる」と問題視されているという側面もあります。
また、2つの入試はいずれも合格発表が早く、卒業の半年位前に合格が決まってしまいます。その後の期間、勉強をしなくなってしまうことも問題に挙げられます。そういったことを背景に、入学前に「出身学校と協力しつつ、入学までに取り組むべき課題を課すなど、入学後の学習のための準備をあらかじめ用意しておくことが望ましい」と「大学入学者選抜実施要項」にも明示されています。つまり、推薦入試やAO入試で早い時期に合格が決まっても、「入学前教育」と言われる勉強をすることになり、遊んではいられないということになります。
入学前教育は将来を見越して大学での勉強の意義を理解すること
では、入学前教育とはどんなことを行うのでしょうか。文科省が例として挙げている帝京大学の例を紹介しましょう。
帝京大学では入学前教育の目的として、大学で学ぶ意義を理解し、主体的に学ぶ姿勢を身に付けることを挙げています。やり方としては、インターネットを利用して、前講義12回の中から必須の2つの授業とそのほか3つの授業を視聴し、ポートフォリオ(学習の過程や成果などを記録したレポート)を提出します。その後希望者は、さらに理解を深めるために反転授業(あらかじめ授業を映像で受講し、その後対面式の授業でディスカッションなどを行う)に参加します。
「大学での学びとは何か」「どのように学問と向き合っていけばよいか」などのテーマについて受講します。
近年、せっかく入学した大学を中退してしまう学生も多くなっています。入学前に大学での学びの内容をしっかり理解し、学ぶ目的を確認することで、大学で勉強をする意欲や心の準備をすることだといえるでしょう。