アメリカ空軍で生まれた、超ネガティブ理論って?

この記事をまとめると
- アメリカ空軍で生まれた「マーフィーの法則」は、超ネガティブな法則
- そのネガティブな考えが、逆に失敗を回避するための心構えにもなる
- マーフィーの法則は、人の心を分析する「心理学」にもつながる
ネガティブな考えが「失敗」を回避する?
小さい頃、先生に「最後まで油断するな」「遠足は家に着くまでが帰り道だぞ」などと言われた経験があるのではないでしょうか。そのたびに「そんな心配しなくても大丈夫だよ」と思った人もいるかもしれません。
確かに、大人はいつも心配しすぎかもしれません。しかしこれは、とにかく用心深くなることで、注意力を高めようという狙いがあるんです。つまり、ネガティブになることで慎重になって、失敗を避けようとしているんですね。
エリートたちが集まるアメリカ空軍でも、その昔、とてもネガティブな考えに基づいた「法則」が生まれました。それを「マーフィーの法則」といいます。
失敗に備えられる「マーフィーの法則」
「マーフィーの法則」とは、アメリカ空軍にいたエドワード・アロイシャス・マーフィー・ジュニアが言ったもの。それがジワジワと広まり、やがて『マーフィーの法則』という本ができるまでになりました。そして、日本でも知られるようになったのです。
その内容は、とにかくネガティブ。基本的には「何事であれ失敗する可能性のあるものは、いずれ失敗する」という考えがベースなのです。その中でも特に有名なものは、「落としたトーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する」です。もちろん、この法則が正しいとは言えません。比例する理由も見つかりません。ただ、「高いものほど汚れる可能性が高い」というメッセージは、「なんとなく当たっている気がする」と思う人もいるのではないでしょうか。
他にも、ユニークな法則があります。たとえば、「洗車しはじめると雨が降る。ただし、雨が降って欲しくて洗車する場合を除いて」というものがあります。これは、「何かをやろうとすると、すぐに邪魔が入る。でも、むしろ邪魔して欲しいときには入ってこない」というニュアンスでしょうか。その他にも、夢も希望もない法則ばかり並んでいます。
人の心を分析していくのが「心理学」
人は誰でも「油断」をしてしまうもの。そんなときに、あえてネガティブな思想を持つことで、トラブルを回避できるケースが出てきます。ただその一方で、マーフィーの法則は「失敗しそうだと思っている人は、本当に失敗する」という人間の心理をも、鮮やかに暴いているのです。
このような人間の心理について学べるのが心理学です。人の心はどのようにつくられ、どう動くのか。人はどう考えてどう行動していくのでしょうか。マーフィーの法則で見つかったネガティブな人々の後ろ向きな心理がどうして生まれてしまうのか、心理学でそれを突き止めていくのも意味があるのではないでしょうか。
この記事のテーマ
「人間・心理」を解説
人を研究対象として、人間の心理や身体、人間が作る社会集団、生活の特徴やあり方を研究します。人間科学は、人間という存在や関係性そのものを研究し、学習範囲は栄養学から文化人類学、スポーツ科学まで広範囲にわたります。心理学は人間の心や行動の特徴を分析・解明します。ストレス社会と呼ばれ、心の病に苦しむ人が増加している現代では、なかでも臨床心理学の重要性が注目されています。人間の存在意義の基礎となる学問です。
この記事で取り上げた
「心理学」
はこんな学問です
人間の心理や行動がどのような原理で動いているのかを研究する学問である。それにはさまざまなアプローチがある。たとえば、認知心理学では対象を知覚してから言語化するまでの作用を情報処理のプロセスとして理解する。発達心理学は人間が誕生してから死ぬまでの心の変化が何によるのかを探究する。臨床心理学は心のバランスを崩してしまった人の状態の改善をめざす。志望校に自分の本当に学びたい心理学があるかどうかを必ず確認することが大切だ。