政治家ってどうしてうちわを配っただけで問題になるの?

うちわを配ったことで問題になり、大臣を辞任した政治家の方がいました。公職選挙法ではどのように定められているのでしょうか? 政治や選挙のルールを見てみましょう。
この記事をまとめると
- お祭りでうちわを配ったことで問題になってしまった国会議員がいる
- うちわは寄付と見なされたので公職選挙法違反で辞任することになってしまった
- 政治家は疑惑を抱かれるような言動は極力慎み、政治の仕事を全うすることが大切
政治家がうちわを配ると大問題になる?
少し前の話になりますが、都議会という正式な議論の場において、塩村あやか都議会議員が女性の晩婚化について一般質問を行っている最中「おまえが早く結婚しないのか」と品格のないヤジに多くの抗議が寄せられました。最近では、安倍首相が「早く質問しろよ」と辻本清美議員にヤジを飛ばしたことは記憶に新しいのではないでしょうか。
このように、国民を代表とする政治家の発言や行動はニュースでも取り上げられることが多いですが、その一つに松島みどり元法務大臣の「うちわ問題」があります。これは、松島みどり元法務大臣が自身の選挙区でもある荒川区と墨田区のお祭りで、イラストが描かれたうちわを配布したことが大きな論争を呼んだことです。松島みどり元法務大臣は「うちわのように見えるがビラである」と答弁していますが、そもそも政治家がうちわを配ることが、なぜこのような大きな問題になるのか紐解いてみましょう。
うちわであっても寄付は公職選挙法違反
結局、松島みどり元法務大臣は、この「うちわ問題」で辞任に追い込まれました。その理由はというと、国会議員や地方公共団体の議員などはその定数や、選挙の方法などを定めている公職選挙法に違反していると判断されたからです。公職選挙法の中では、選挙に限らず、政治家が選挙区内の有権者に対して入学祝やお中元、祭礼行事の寄付や差し入れであっても、全て政治活動に関わる寄付とみなしており、さらに政治家がそれらの寄付を行うことを禁止しています。これは、政治家に何かをしてもらったら、投票という形でお返ししたいという心情や実際の見返りを禁止しているためです。
今回の場合は、配布したうちわが寄付にあたるとされ、うちわを寄付したことにより選挙の際の票を買い取ったとも受け取ることができます。このような寄付行為に限らず、公職選挙法に違反した場合は、その度合いにもよりますが、禁固刑または罰金刑が処せられる立派な犯罪になるので、政治家は細心の注意を払わなければなりません。
疑惑を抱かれないクリーンな政治を
国民の代表でもある政治家はさまざまな資質が求められますが、どんなに素晴らしい活動をしていても、公職選挙法に違反してしまったら元も子もありません。「うちわ問題」は多くの議論を呼びましたが、松島みどり元法務大臣だけでなく、多くの政治家が似たような、うちわらしきものを配布していることも発覚しました。うちわか、うちわでないかは微妙なものも多々ありますが、大切なのは疑惑を抱かれるような言動は極力慎み、本来やるべき政治の仕事を全うするということです。
しかし、このような事例があってこそ、政治に対しての疑問や好奇心も湧いてくるのではないでしょうか。国民のために一生懸命汗を流す政治家もたくさんいます。難しい仕事というイメージがあるかもしれませんが、時には国会中継などを傍聴してみると、改めて政治家の仕事の重要さなどを垣間見ることができるでしょう。
この記事のテーマ
「法律・政治」を解説
国家は通常、多数の国民によって構成されています。それぞれ考え方が異なる国民をひとつの国家としてまとめようと考えれば、法律によって義務や権利を定め、政治(行政)によってそれらをきちんと運用していくことが必要になります。歴史上、多くの国家がこうしたことを目指し、あるものは成功してあるものは失敗してきました。どのようなときにあっても、道しるべとなるべき法曹家や政治家や評論家などの専門職は不可欠です。
この記事で取り上げた
「政治学」
はこんな学問です
社会制度の基礎となる枠組みを決めるのが政治であり、政治理論、政治思想史、政治史、公共政策、国際政治などについて総合的に研究するのが政治学である。具体的には、国内の少子高齢化と介護福祉の問題などの目の前の問題から、世界の平和を危うくする紛争と難民の問題まで、政治学的なアプローチによる幅広い研究がなされている。また、より公正な政治を実現するために、国によって異なる国家を統治する仕組みや制度についての比較研究も行う。
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