金と同じ価値で取引された調味料があるって知ってる?

この記事をまとめると
- コショウと金が同じ価値とされていた時代があった
- 香辛料を求めるとともに、土地を植民地化したヨーロッパの歴史がある
- 歴史を学ぶことで想像力も豊かになるはず
今や家庭に必ずある調味料・コショウも大昔は貴重品だった!?
ラーメンを食べるときに欠かせない調味料といえば、コショウ。コショウそばなんていうメニューが人気のラーメン屋さんもあるくらいですから、食事のときにたっぷり入れてしまう人も多いのではないでしょうか。
ステーキなどの肉料理や家庭料理にも欠かせないコショウですが、実は大昔はとてつもない高級品として珍重されていたのをご存じですか? 今回はそんなコショウの歴史をご紹介します。くしゃみは我慢して読んでくださいね!
金と交換できて、なんと戦争まで起こしたコショウ
ヨーロッパにおいてコショウは、15世紀からはじまった大航海時代に特に重宝されました。たくさんの船が新しい大地を求めて大海へ向かっていく中で、コショウの抗菌・防腐・防虫作用が、船に積んだ食料を長期間保存するために必要不可欠だったのです。ヨーロッパではコショウを生産することができないため、はるか東方、インドから輸入するほかありませんでした。ヨーロッパ諸国は、コショウを手に入れるため、競ってインドや東南アジア各地へ船で向かって行ったのです。十字軍の遠征や、大航海時代の目的のひとつが胡椒であったとも言われています。
中世ヨーロッパにおいては、香辛料の中でもっとも高価とされており、金と胡椒が同じ価値で交換されたとも言われています。コショウを「天国の種子」と呼ぶ人さえいたようです。当時のヨーロッパの貿易商たちの活動の中心は、コショウをはじめとする香辛料貿易でした。そして、コショウなどを求めての航海が、ヨーロッパ人がアジアを植民地化し、帝国主義的な支配を及ぼすきっかけの一つとなったのです。
コショウから、歴史のいろいろなことが見えてくる?
その後、コショウは一般的な香辛料として浸透していき、昔のような貴重品ではなくなりました。あなたの家庭にも置いてあるコショウですが、かつてはそれで戦争が起きるくらい、とんでもない高級品だったというわけです。
コショウ一つ取ってもこうした歴史があるように、「歴史学」では、ある事柄や物に注目した研究も行います。コショウという題材から、世界の経済や貿易、国際関係の歴史をひもといて行くことができるのです。
歴史学では、出来事の背景にどのようなものがあったのかを研究し、事実と事実をつなぎ合わせることで、かつての物語を解き明かしていきます。家にあるものを何か一つ取り上げて、どのような歴史を持っているのかを調べてみるのも面白いかもしれませんね。
この記事のテーマ
「文学・歴史・地理」を解説
文学は人々の暮らしや感情の変化などについて、文章表現をもとに考える学問です。文献を読み解きながら比較して、人のあり方や社会について研究します。地理学や歴史学は、地形や気候、歴史的事実や遺物・遺跡などの手がかりをもとに、私たちの生活や文化・経済活動などについて、その成り立ちから考えていきます。
この記事で取り上げた
「歴史学」
はこんな学問です
歴史学とは、対象とする大陸・国・地域などにおいて、過去に起こった物事を取り上げ、当時それがどのような意味を持っていたのかを、残された物や建造物、文書などから研究する学問である。ただ、資料を正確に読み取るだけではなく、事実かどうかを疑い、踏み込んで検証する批判的視点も重要である。歴史学の基本的なラインナップには、日本史、東洋史、西洋史、考古学がある。また、政治制度・経済活動・芸術文化・信仰宗教などに特化した考察も行う。
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