社長になって失敗したらどうなるの? 借金まみれで人生終わり?
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レディースファッションのWebサービスCUBKI(カブキ)を運営するベンチャー、ニューロープ社の経営者酒井より、会社を経営するということの責任についてお届けします。
この記事をまとめると
- 会社が倒産しても、必ずしも社長が借金を背負うわけではない
- 会社の借金を社長が保証すると、社長が多額の借金を抱えることもあり得る
- 社長は学び続けて失敗を減らすことが大切
会社が倒産したとき必ずしも社長は借金を背負うわけではない
会社が倒産。多額の借金を抱えて社長が自殺……。
そんなストーリーをドラマやマンガで目にして、起業は怖いことだと思っている方も少なくないのではないでしょうか。
実際にそういったケースもあるようですが、会社が倒産したら必ずしも社長が借金を背負うというわけではありません。
そもそも株式会社は「有限責任」だと法律で定められています。
簡単に言ってしまうと、会社がどれだけ借金を抱え込んでいたとしても、社長を含めて個人が代わりに支払うことを強制されるわけではないということです。
仮にあなたの友人が多額の借金を抱えたとしても、あなたにその返済責任がないのと同じです。社長と会社は「別人格」と見なされています。
もちろん借りたものは返してしかるべきですし、そもそも返せないような借金はするべきではありません。
この件についてはあらためて後述します。
個人保証すると「会社の借金=社長の借金」になる
ただしこれには例外があります。社長が会社の借金を個人保証するケースです。
銀行は会社にお金を貸して、その対価として利子を取ることでお金を稼いでいます。
ただし、貸したお金が戻ってこなかったら利子どころの騒ぎではなくなってしまいます。株式会社が有限責任だということは、その会社が倒産した際、お金を貸していた銀行はまるまる損をしてしまうということです。
このため、銀行は企業の信用調査を念入りにします。既にしっかりと毎月売上を上げていて、工場を増設するために一時的にお金が必要だけれど、1年後にはまず間違いなく返せるだろうなというような信頼できる会社に限ってお金を貸すのが原則でしょう。
一方で、既に経営が傾いていて、立て直せるかどうか分からないような会社に対してお金を貸すのは難しい立場にあります。
大量に生産した商品がまったく売れていない。2カ月後には従業員の給料も支払えなくなる。再建の目処は立っていない……。
そんな状態の企業には、なかなかお金を貸せるものではないでしょう。
ところが、社長の立場としては「何とかお金を借りてこの窮状をしのぎたい」と考えることもあると思います。「今は販路の開拓が難航しているだけで、小売大手一社とでも契約が取れれば状況が変わるはずだ」と。
銀行は貸すに貸せない。社長はどうにか借りたい。このようなシーンで「個人保証」という選択肢が登場します。
「会社がお金を返せなかった際には社長の私が代わりに支払います」という契約を銀行と結ぶのです。
この個人保証を結んだ上で会社の倒産を食い止めることができなければ、社長は個人として借金を背負うことになります。
ドラマでよく見る泥沼の状況は、こういったケースから生まれます。
社長は学び続け、失敗を少しでも減らすことが大切
つまり、個人保証をしない限りは借金を背負わずには済むということです。
もちろん話は単純なものではありません。
会社には長年の苦楽を共にしてきた、家族のような従業員がいるかもしれません。会社をたためばこの従業員たちが仕事を失うことになります。全員に次の仕事が見つかる保証はないでしょう。
社長が個人保証をして銀行から3000万円借り、状況を打開できればこの従業員たちの雇用を守れるかもしれません。一方でお金を借りても状況を打開できる保証はありません。
これは答えを出すのが非常に難しい問題です。社長には眠れない日々が続くことでしょう。
企業を経営するということはきれいごとだけでは済まされないと筆者は考えます。上記のような立場に立たされることがないとは言い切れないためです。
市況の変化に常に対応してそもそも危機に陥らないように会社を舵切りすることが、経営者の役割の一つでしょう。
とはいえ、ここ数年だけを振り返っても、震災や急激な円安など、中小企業には抗いがたい市況の変化がありました。
リスクが避けられないのであれば起業はすべきではないかというと、筆者個人はそのようには思いません。
新しいチャレンジをする起業家がいるからこそ、新しい雇用が生まれることがあります。
トヨタ自動車も本田技研工業ももともとはベンチャーでした。そのトヨタ自動車は2014年3月末の時点で、連結で見ると30万人以上の雇用を生み出しています。
「起業は危険だからやめよう」と誰もが考えてチャレンジする人がいなければ、日本は自動車も家電もあらゆるものを輸入に頼ることになり、今ほどには発展できずにいたことでしょう。
危機に立たされる可能性を少しでも減らすために、筆者は今、持てる時間の多くを仕事と勉強につぎ込んでいます。
勉強は大切です。企業経営に失敗はつきものですが、中には学んでおくことによって避けられる失敗もたくさんあります。筆者は年に数百冊の仕事に関連する書籍を読みますが、勉強することは本当に尽きません。机上の空論とは言わず、学生の頃から大いに勉強に励むことをおすすめします。
ライター:酒井 聡(さかい さとし)
株式会社ニューロープ・代表取締役/株式会社Present Square・執行役員
2014年1月に独立起業。レディースファッションのWebサービス「CUBKI(カブキ)」事業の他、Webサイトやスマホアプリなどのデザインや開発事業を手がけています。
この記事のテーマ
「ビジネス・経営」を解説
法律などの専門知識を学び、文書作成などの技能を磨くほか、資格取得や検定合格を目指すカリキュラムもあります。小売業や不動産売買、経営コンサルタントや税理士など、各ビジネス分野におけるスペシャリストも育成します。国家試験の合格が求められる高度な資格を必要とする仕事もありますが、専門学校の中には受験指導に実績を誇る学校もあります。
この記事で取り上げた
「アントレプレナー(起業家)」
はこんな仕事です
自らビジネスプランを考えて、会社を起こす仕事。これまでにない斬新なアイデアで、ベンチャー企業などをつくる人も増えている。かつて株式会社をつくる場合は1000万円以上、有限会社をつくる場合は300万円以上の資本金が必要だった。しかし、2006年5月に会社法が施行され、1円の資本金で起業が可能になり、税務署に開業届などの書類を提出するだけで容易に会社をつくり、社長になれるようになった。会社を起こした後は、自ら考えた経営ビジョンの下、戦略と計画を立てて会社を経営していく。
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