カラフルな光を当てるとレタスがおいしくなるってホント?

この記事をまとめると
- LEDを活用した植物栽培が行われている
- 植物の栽培に適した光は、赤色と青色の2種類と言われている
- LEDは、他の農産物の栽培にも活用されている
LEDを使った、カラフルなレタス栽培とは?
昨年、日本人の研究者が、「青色LED」の発明と量産化について、ノーベル賞を受賞したことはまだ記憶に新しいと思います。最近では、生活の中でも、よく耳にするようになったこの「LED」という言葉。正式名称は「Light Emitting Diode(発光ダイオード)」と言います。
LEDは、光源が長寿命であること、消費電力や発熱が少ないこと、紫外線・赤外線の量も極めて微量であることなど、さまざまな長所があります。
そして、今、LEDの技術をレタスの無農薬栽培に生かしていく試みが大学や企業ではじまっています。
なぜ、LEDが植物の栽培に適しているのか?
LEDを使うことで、植物にどんな影響があるのでしょうか?
植物の栽培に適した光は、赤色と青色の2種類と言われており、赤色光は光合成を促す効果が、青色光は実や葉を大きくしていく効果があります。そのため、LEDの光を照射していくことによって、植物を効率的に成長させることができるのです。
これまでの蛍光灯では、寿命が短く、消費電力も多く、また、熱によって葉焼けしてしまうこともあり、効果的な栽培が行えませんでした。しかし、青色LEDの量産が可能になったことで、植物栽培に適した光の照射が可能になりました。
さらに、LEDを使うことによって、栄養を効率的に吸収させることができ、栄養素の高い野菜ができるといわれています。栽培する「野菜工場」では、青や赤紫の色をしたLEDの光でライトアップされた、幻想的な空間が広がります。野菜栽培とテクノロジーが融合した、まさに未来的な農業だといえます。
LED栽培で広がる! 野菜栽培の未来
現在、LED栽培は、さまざまな機関で研究が進められており、レタス以外の農産物の栽培も始まっています。今後、家族や友だちと食事をするときに、LED栽培で育てられた野菜が食卓に上る日も遠くはなさそうです。
また、LEDが安定供給され、品質の高い野菜が多く生産されることで、野菜の市場価値に変化が起きるかもしれません。テクノロジーの進歩は、わたしたちの食生活だけでなく、社会にも大きな影響を与えることでしょう。
今後、農学や農業工学の研究が発展していくことで、近い将来には、おいしい野菜をたくさん食べられるだけでなく、夜中に鮮やかに輝くカラフルな畑をあちこちで見かけることができるかもしれませんね。
この記事のテーマ
「農学・水産学・生物」を解説
私たちは、他の生物から栄養をもらって生活しています。人口が増え、自然環境が悪化する中、食料を安定して確保し、自然から栄養をもらい続け、世界の飢餓問題に対応するには、農業、林業、水産業などの生産技術の向上が欠かせません。動植物や微生物などさまざまな生物の可能性を発見する研究も重要です。
この記事で取り上げた
「農学」
はこんな学問です
品種の改良や病害虫対策をはじめとする栽培技術、事業として継続させるための農業経営、行政による支援のあり方を問う農業政策などを通じて、人と自然の共生のための方法を研究する学問である。研究分野は広く、食料としての生物を環境にマイナスの影響を与えることなく継続的に確保する方法を研究する「資源生物科学」、食品・農業・化学工業などの生物活用現場で起こる問題をバイオ技術によって解決する「応用生命科学」などがある。
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