千葉生まれの地理学者、約200年後にさらに名を上げる!

この記事をまとめると
- 江戸時代の日本地図は宇宙から見ても誤差がない
- 星の位置を確認することで正確な地図が生まれた
- 地図が発展すれば地球上から「迷子」がなくなる!?
地図アプリの大先輩! 江戸時代に生まれた、初めての「日本地図」!
友だちとの待ち合わせや部活の遠征先の下調べに役立つ地図アプリ。目的地がササッと分かるだけでなく、Google Mapsのストリートビューなどは、世界を旅した気分にもなれて楽しいですよね。
ところで、私たちが頭の中で自由に旅できるのも正確な紙の地図があったからこそ。日本の地図が完成したのは今から200年ほど前のことで、歴史の授業でもおなじみの測量家・伊能忠敬が中心となって作りました。
「伊能図」と呼ばれるこの地図は、宇宙から撮影した日本列島の写真と比べてみても、ほとんど誤差がないのだとか。国土を測るための機械なんてなかった時代に、これだけ精度の高い日本地図をどうやって作ったのでしょうか。
いつも星を見上げていた? 夜空が正確な地図を作り出す!
千葉県出身の忠敬は、当時家業の造り酒屋で商売をしていました。学問の道に進んだのは51歳になってから。学者としてはかなり遅いスタートでした。しかも、忠敬は地図を作るための学問=測量学ではなく、いまでいうカレンダーや時計を作るための学問=天文暦学から勉強を始めたと言います。
昼間は机の上で勉学に励み、夜中は星を見上げる毎日。しかし、コツコツと積み重ねた天文暦学の知識が、やがて日本地図の作成に役立ちます。なぜなら地図を作るとき、星の位置を確認することで、より正しい距離と方位、位置関係を導き出すことができたからです。
そして、星を見上げること1400日あまり。苦労のかいもあり、いまの日本地図の大元になる、驚くべき精度の地図「大日本沿海輿地全図(伊能図)」が完成しました。
地図の発展で、もう地球で迷子になることはない!?
宇宙飛行士・毛利守さんは、宇宙から地球を見て「日本列島が地図と同じ形をしていることを実感として納得しました」と語っています。宇宙から眺めるなんてずいぶんスケールの大きな話ですが、忠敬が作り上げた日本地図がそれだけ正確だった証拠でもあります。
最近では地図を見なくても、人工衛星によって、自分がいま地球上のどこにいるかすぐに確認できるようになりました。カーナビやスマートフォンに入っているGPS(全地球測位システム)と呼ばれるものです。これも、かつて地図作りに人生と情熱をかけた人たちがいたからこそ可能になったこと。
最新のテクノロジーを駆使した地理学の研究がさらに発展すれば、この地球上で「迷子になる」こと自体がなくなる日が来るかもしれません。
この記事のテーマ
「文学・歴史・地理」を解説
文学は、長い歴史のなかで変遷してきた人間の生活や社会、人々の考え方や感情の変化などを、文章表現をもとに考える学問です。文献を読み解いて比較検討し、過去から現在、さらには未来に至る人間のあり方や社会について研究します。地理学や歴史学は、今日の私たちの生活や文化、経済活動などについて、基盤となった地形や気候、史実やさまざまな事象、最新の研究結果や歴史的な遺構をもとに、その成り立ちから考える分野です。
この記事で取り上げた
「地理学」
はこんな学問です
地理学には2つの顔がある。一つ目は地形や気候、植物の生育や水の循環などを研究する自然地理と、政治・経済活動、人口問題、都市生活などを研究する人文地理である。その他、地球レベルでの環境問題や異常気象による自然災害を、そこに暮らす人間との関係において調査研究を行い、改善策を提案することもできる。また、さまざまな領域に活用されているGIS(地理情報システム)も研究対象である。
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