海岸に打ち上げられるイルカやクジラ。一体地球で何が起こってるの?

この記事をまとめると
- イルカやクジラが海岸に打ち上げられる現象が起きている
- 原因は分かっておらず、地震発生との関連を唱える学者もいる
- 生物の未知の生態を調べることで、地球環境を知ることにつながるかもしれない
イルカやクジラが海岸に打ち上げられてしまうことがある?
みなさんはテレビやインターネットなどで、イルカやクジラが海岸に大量に打ち上げられた、というニュースを見かけたことはありませんか? 海の生物が自ら地上に上がってしまうという、普通なら考えられない。かわいいイルカやクジラが浜辺で横たわっている光景は、見るに耐えず、とてもショッキングなことです。
最近では、2015年4月に、茨城県鉾田市の海岸に150頭ものイルカが打ち上げられたということがありました。イルカやクジラが浜辺に打ち上げられる「座礁」「ストランディング」と呼ばれる現象は、茨城県だけの話ではなく、実は全国各地で起き続けています。どうしてこのようなことが起きてしまうのでしょうか?
地震を察知!? 座礁の原因にはさまざまな説がある
その原因として考えられるのは、まず、エサを追って浅瀬に打ち上げられてしまったという説。エサとなる魚を夢中になって追っているうちに、誤って浅瀬に入ってしまったという見方です。シャチやサメなどの肉食性の海生生物の攻撃から逃げているうちに浅瀬に迷い込んだ、ということも考えられます。
さらに耳の中に入った寄生虫などの影響によって、方向感覚がつかめず、海岸へ向かって行ってしまったという説。聴覚障害を起こし、イルカやクジラの特徴である超音波探知ができなくなったことが原因と考えられます。
また、潜水艦の発するソナー音が原因という説もあります。ソナーとは、水中を伝播(でんぱ)する音波を用いて、水中や海底の物体を捜索・探知・測距する装置のことで、海で暮らすイルカやクジラにとって強烈な影響を与えるという見方があります。
これらの要因の他に心配されるのが、地震の振動や台風などによる潮流の変化を感じ取ったことで混乱が生じ、潮流に流されて海岸に打ち上げられたという説です。また、地震により発生するさまざまな電磁波がイルカやクジラの聴覚を狂わせるという説を唱える学者もいるようです。
未知の生態を学ぶことは、地球環境を知ることにつながるかもしれない
イルカやクジラが海岸に打ち上げられる要因は諸説あるものの、まだはっきりとした原因は分かっていません。もし地震や台風が原因という説が本当なのであれば、地球上の生き物の未知の生態を研究することが、地球環境を知ることにつながるかもしれません。
このように生物について研究する学問を「生物学」と言います。生物学は、さまざまな生物の生命現象を実験・観察することによって研究する学問です。
もし生物の生態と地球環境の新たなつながりを見つけ出すことができれば、生物の行動や習慣から事前に自然災害を察知する、なんてことができるようになるのかもしれませんね。
この記事のテーマ
「農学・水産学・生物」を解説
私たちは、他の生物から栄養をもらって生活しています。人口が増え、自然環境が悪化する中、食料を安定して確保し、自然から栄養をもらい続け、世界の飢餓問題に対応するには、農業、林業、水産業などの生産技術の向上が欠かせません。動植物や微生物などさまざまな生物の可能性を発見する研究も重要です。
この記事で取り上げた
「生物学」
はこんな学問です
マクロな地球の生態系からミクロな細胞の世界まで、さまざまなレベルで起きている生命現象を実験・観察することによって研究する学問である。人間を含めた動物・植物・微生物など、あらゆる生命体が研究対象となる。主な研究分野としては、タンパク質を中心にした生体内の高分子の機能をその構造から研究する「構造生物学」、生態系の構成要素である生物と環境の関わりを研究する「環境生態学」などがある。
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